- 本文の内容
-
- コンビニエンスストア コンビニ客減少続く
- ドラッグストア ドラッグストアひとり勝ち
- ハウステンボス お客と紡ぐ「100年構想」
- シマノ 自転車、山登りも自在
コンビニ神話崩壊の兆し、勝利の方程式のほころび
日経新聞が報じたところによると、コンビニ大手7社の既存店客数は前年同月比1.4%減となり、16年3月から24カ月連続で前年を下回りました。客数の集計を始めた2004年以降で最も長く前年比減が続いており、ドラッグストアやインターネット通販の台頭に押され、小売りの勝ち組だったコンビニの成長神話にも陰りがみえてきたとしています。
コンビニがまだ普及していない地域もあるので、そうした地域への進出を考えるとコンビニ業界全体としては伸びていく可能性はあると思います。しかし、既存店の客数がこれだけ落ち込んでいるというのはかなり危機的な状況です。
このコンビニ苦戦の要因を作っているのが、ドラッグストアです。ドラッグストア市場の2017年度の売上高は6兆8504億円となる見込みで、2年連続で百貨店を上回っています。粗利率の高い医薬品や化粧品で収益を確保し、日用品などを安値で販売するモデルが成長の原動力になっていて、今後はネット通販との競合や他業態の追い上げをどうかわすかが焦点になりそうです。
コンビニは、その名の通り利便性を売りにしていて、決して価格そのものは安くありません。一方、安い価格で勝負をしていたスーパーは自滅していきました。こうした市場環境の中、ドラッグストアは医薬品・化粧品など粗利が高いものを取り扱いつつ、コンビニでも売っているような日用品などを安く販売するという戦略を取りました。これにより、じりじりとコンビニからボリュームを奪うことに成功してきたということでしょう。
コンビニの戦略は、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文元会長が提唱した勝利の方程式があまりにも浸透しすぎました。商品棚の管理、商品の回転の管理を重視し、商品の価格にはそれほど重きを置いてきませんでした。それは、生鮮食品などを極力避けてきたところにも表れています。
一方のドラッグストアは、コンビニには置いていないような少し変わった商品や、詰め替え商品を扱うなどの工夫をしてきました。鈴木氏が牽引してきたコンビニの勝ちパターンの漏れている穴をドラッグストアは見事に突いてきたと言えるでしょう。
ハウステンボスに城壁都市 お客と紡ぐ「100年構想」
エイチ・アイ・エス会長兼社長の澤田秀雄氏は、ハウステンボスを囲む城壁を作る計画を明らかにしました。来場者からの寄付を建設費に充て、金額に応じて城壁に名前を刻んだり、ICチップを埋め込んだりするということで、城壁の中にはテーマパークや工場、また独自の仮想通貨「テンボスコイン」が流通するという構想を語ったとのことです。
今から数十年前、私は「お墓の問題」で似たような構想を描いたことがあります。都心にはお墓がなく作ることも難しいので、例えば利用しなくなったゴルフ場や富士山の裾野といった地域にお墓を作る、というものです。お墓の前で、おじいちゃんの生前の写真を見ながら、楽しくピクニックをしてもいいでしょうし、富士山の裾野ならBBQをしてから一泊できる施設を作ってもいいでしょう。
澤田氏の発想もよく似ていると思います。日本のように寄付の文化が無い国民に対して、寄付をしてくれたことに対して、
ちょっとしたお返しのような仕掛けをする、というのも私もお墓ビジネスで考えたアイデアの1つでした。澤田氏のハウステンボスのアイデアはさらに膨らんだものになっています。
世界に誇るシマノの技術力による電動アシストに期待
自転車部品で世界シェア8割を誇るシマノが、電動アシスト部品の製造販売に乗り出しました。国内ではママチャリの電動アシストが一般的ですが、欧米では脚力が低下した中高年でも楽しめるスポーツ車の新ジャンルとして注目を集めており、シマノはガラパゴス化した国内市場に変革の風を吹かせたいとのこと。
世界最大の自転車メーカーと言えば、台湾のジャイアント・マニュファクチャリングです。この会社も自転車の部品はすべてシマノ製です。それだけの技術力を誇るシマノが、電動アシストに乗り出すというのは非常に期待が持てます。
欧米では中高年の人が電動アシストを利用しているということですが、日本でも箱根や湯河原へ行くと自転車に乗っている中高年の方が増えていると感じます。こうした人たちが電動アシストを利用することで、自然に親しみながら自転車に乗る機会をより増やしていくというのは、とても良いことだと思います。
自転車ギアの技術で世界最高水準を誇るシマノが、本気で電動アシストに取り組んだら、どのようなものを作ってくれるのか、大いに期待したいところです。
---
※この記事は3月25日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は、コンビニやドラッグストアの話題を中心にお届けいたしました。
ドラッグストアやインターネット通販の台頭に押され、
小売りの勝ち組だったコンビニの成長神話にも
陰りがみえてきました。
これに対して、粗利率の高い医薬品や化粧品で収益を確保し、
日用品などを安値で販売するドラッグストアのモデルが
コンビニ苦戦の要因を作っていると指摘しています。
コンビニには置いていないような少し変わった商品や、
詰め替え商品を扱うなどの工夫をすることで、
コンビニの勝ちパターンの漏れている穴を突いてきたドラッグストア。
このように、戦略を描く際には、
市場のカギとなる場所を見つけることは非常に重要です。
ドラッグストアがじりじりとコンビニから
ボリュームを奪うことに成功してきたように、
市場のどこから進行して広げていくのか?
というようなストーリーを描くことが大切です。
▼体系的な経営学が学べるBBT大学経営学部から
【特典付】ビジネスに直結する知識やスキルを約2ヶ月間で身に付けることができる
「単科生制度」で理論と実践が一体化したBBT大学の学びを体験してみませんか?
http://tr.webantenna.info/rd?waad=2cMFZmvx&ga=WAAAAk-1