大前研一「ニュースの視点」Blog

KON672「米エアビーアンドビー・武田薬品工業・スタートトゥデイ ~香川県でエアビーアンドビー活用の取り組み開始」

2017年5月5日 スタートトゥデイ 武田薬品工業 米エアビーアンドビー

本文の内容
  • 米エアビーアンドビー 香川で宿泊施設開拓
  • 武田薬品工業 長谷川閑史会長が6月退任
  • スタートトゥデイ ゾゾフリマを6月末終了

香川県でエアビーアンドビー活用の取り組み開始


民泊仲介の米エアビーアンドビーと地域振興に取り組むNPO法人アーキペラゴが連携し、香川県内で宿泊施設の開拓に乗り出しました。瀬戸内海の離島などの宿泊施設に対して、エアビーアンドビーへの登録を後押しするとともに瀬戸内海クルーズなど体験型観光のメニューを揃え、国内外からの観光客を呼び込む考えとのことです。

エアビーアンドビーは、違法・脱法などと批判されていますが、宿泊施設に登録を促すという今回のスキームなら何も問題はありません。宿泊施設の集客支援にもなりますし、お互いに良いことだと思います。

昨年だけでもエアビーアンドビーを利用した海外観光客は350万人。都道府県別の延べ宿泊者数に占める外国人比率を見ると、
東京、大阪、京都が30%に達しているのに対して、香川は10%です。まだまだ伸びる可能性は十分です。吉野川などの名所を上手く利用したプランを打ち出しても良いでしょうし、このスキームは上手くいくと思います。



国際化に成功した武田薬品の今後の課題


武田薬品工業は先月13日、長谷川閑史会長が6月の定時株主総会後に退任し、相談役に就くと発表しました。長谷川氏は社長在任時、ミレニアム・ファーマシューティカルズ(米国)、ナイコメッド(スイス)の大型買収を牽引した他、2014年にCEOに就任した際には、後任に同社初の外国人社長であるクリストフ・ウェバー氏を据える人事を行いました。

長谷川氏の在任期間を振り返ると、猛烈な台風のように様々なことを実行しました。日本でも有数の製薬会社であったものの、大阪のドメスティックな企業だった武田薬品工業は、あっという間に国際化に成功しました。ミレニアム・ファーマシューティカルズ(米国)、ナイコメッド(スイス)の大型買収だけでなく、和光純薬工業を富士フィルムに売却するなど多くのことを手がけました。

ウェバー氏を社長に据えて、長谷川氏はCEOになり、その後スケジュール通り、会長職を経て今回退任となります。トップ人事でこれほど予定通りになることはあまりありません。非常に珍しいことだと思います。

長谷川氏が去った後、残った武田薬品の課題は、「もう昔の姿には戻れない」ということです。役員の大半も外国人で、完全に国際化した企業になりました。武田薬品ほど国際化に成功した事例は、日本の製薬業界ではめずらしいことです。

日本で育った社員が、この国際化した武田薬品という組織の中で実力を発揮できるか。スイス、カナダ、米国などの競合企業に対抗しながら、成長していける人材がどれほどいるか。おそらく、このまま出世できるのか不安を感じている社員もいるはずです。今後、武田薬品がどのような姿を見せてくれるのか、期待したいところです。


フリマで圧勝するメルカリにも宅配の課題


衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイは6月末で顧客同士の古着売買を仲介するサービス「ゾゾフリマ」を終了すると発表しました。2015年12月にサービスを開始しましたが、利用者数や取扱金額が想定した数値に達しませんでした。今後は主力の通販サイト事業などに経営資源を集中するとのことです。フリマについては、米国と日本で5000万人の会員を獲得しているメルカリが圧勝し、手も足も出ないという状況になっています。

そのメルカリは、家具や家電など大型の商品の配送サービスを始めるとのことです。メルカリのサービスは、「個人対個人」「CtoC」です。宅配も個人で行っていましたが、大型商品については利便性も考慮して、メルカリが配送をするということです。私が以前から提唱している「ラストワンマイル」の問題です。メルカリにしても、CtoCだけではやりきれない問題になってきたということだと思います。

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※この記事は4月23日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?



今週は、エアビーアンドビーの話題をお届けしました。

NPO法人と連携し、香川県内で宿泊施設の開拓に乗り出したエアビーアンドビー。

これに対して大前は、宿泊施設に登録を促すという今回のスキームは
上手くいくだろうと言及しています。

今回のように連携や提携で補完的な機能分担や価値提供を行うことで、
高い競争力を獲得し、競合に対する持続的な優位を確保することができます。

提携のパターンは、これ以外にも、航空業界のアライアンスのような、
同業社による規模やエリアの拡大、コンビニや塾など事業ノウハウを
他社に供与しその対価を徴収するフランチャイズなどがあります。

違法・脱法と批判をされていますが、このような連携や提携により、
規制を乗り越え、ビジネスを展開する新たなスキームになるかもしれません。


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