大前研一「ニュースの視点」Blog

KON645「タカタ・イオン・百貨店提携 ~資本業務提携を発表」

2016年10月28日 イオン タカタ 百貨店提携

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タカタ再生の道。スポンサー企業と自動車メーカーの対立する利害


相次ぐエアバッグ事故で経営悪化が懸念されるタカタの再建について、スポンサー企業選びの入札に参加した5グループすべてが、出資の前提として同社の法的整理を提案していることが先月29日、明らかになりました。

しかし、タカタの取引先で債権者でもある自動車メーカーは法的整理を回避したい意向を示しており、最終的な再建策の行方は不透明な情勢とのことです。

タカタのリコール費用は数兆円規模になるとの試算があり、そうであれば倒産、すなわち会社更生法を適用するほかありません。

しかしそうなると困るのが、自動車メーカーです。
法的整理を受け入れたタカタが責任を免れる一方、自動車メーカーが責任を追うことになります。
自動車メーカーとしては、あくまでタカタに矢面に立ってもらい、後方支援する立場を取りたいところでしょう。

逆にタカタの買収を検討している企業からすれば、会社更生法を適用し全ての株主も失って、ゼロの状態から始めたいはずです。

その上で、世界40箇所にある製造工場や販売会社などタカタの資産を有効に活用する方法を見出したいところです。

自動車メーカーとしては苦しい立場です。このまま放っておけば、タカタは会社更生法を適用し倒産するしかありません。民事再生を望む声もありますが、現状を見る限り、非常に可能性は低いと私は見ています。

自動車業界の大きな動きとして、トヨタ自動車とスズキは12日、業務提携に向けた検討を始めると発表しています。

環境や安全、ITなどの分野で経営資源を持ち寄り、開発スピードを上げ、競争が激しくなる自動車業界での勝ち残りを目指すとのことです。

スズキの持つ軽自動車市場への強みもありますが、トヨタにとって一番のメリットはインド進出でしょう。

スズキはインドで最大シェアを持っています。インドの自動車市場は巨大であり、まだ成長段階にありますから今後に期待できるでしょう。

ただし、スズキの鈴木修会長は非常にプライドが高く、これまでに提携してきたGMやVWとはことごとく上手く行かずに手を切っています。

トヨタとしては鈴木修会長の性格は百も承知でしょうから、急いで事をすすめる意思はないと思います。
ゆっくりと構えて、今は将来のための技術提携から始める、というスタンスだと思います。


総合スーパー、百貨店の低迷。イオン、セブン&アイの打開策とは?


イオンが5日発表した2016年3~8月期の連結決算は最終損益が53億円の赤字でした。
集客力を高めるため、大規模な店舗改装に踏み切りましたが、費用の負担を吸収しきれなかったことが原因とのことです。

イオンのセグメント別業績を見ると、GMS(総合スーパー)が大きな赤字を出しており、ディスカウントストアーは利益が出るようになってきているのがわかります。

全体的には、ディベロッパー、銀行などの金融ファイナンスといったモール事業で利益を上げています。
しかしその中にコンビニがなく、ここがセブン&アイとの大きな違いと言えます。

イオンの大株主である三菱商事がローソンの直接支配を始めていることもあり、今後イオンの中にローソンを取り込んでいく可能性もあると私は見ています。

GMS(総合スーパー)では主体的な販売業が伸びることは構造的に難しいですし、少子化の時代背景を考えればなおさらです。

三菱商事が主体になって、ローソンとイオンを一緒に、できれば合併も視野に入れて考えても良いと思います。

* * *

セブン&アイ・ホールディングスとエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は6日、資本業務提携すると発表しました。
株式を相互に持ち合うほか、苦戦が続く関西地区の百貨店事業で協力する方針です。

H2Oは、特に旗艦店の梅田店を筆頭に阪急百貨店の収益性が高くなっています。
H2Oは百貨店事業において高島屋と経営統合を図っていましたが上手くいかず、中止になったままです。

今回の提携は経営統合ほどのものではなく、もう少しライトなものです。
セブン&アイの中でも、まずはそごう・西武の有力な3店舗をH2Oにお願いする形でしょう。
関西ドミナント戦略を進めているH2O・阪急百貨店の調子は良く、その勢いのままに三宮・神戸近辺を任せる流れだと思います。

百貨店業界全体の傾向としては落ちてきているので、このような合従連衡は今後も必要になってくるでしょう。


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※この記事は10月23日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?



今週は、GMS(総合スーパー)と百貨店を中心とした小売業界についての話題をお届けしました。

今回の事例のように、自社の戦略を描く際は、既存の自社リソースを活用するだけでなく外部との連携も視野にいれる必要があります。

市場環境が厳しくなる中で、自社がいかに生き残っていくのか?
単一事業の戦い方だけでなく、複数事業を組み合わせた展開など、経営者の視点で次の一歩を考える力が求められます。


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