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ソニー銀行:預金残高　1兆円突破
イーバンク:最終赤字　110億円
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●ネット銀行の勝ち組か？　ソニー銀行が好調な理由とは？

インターネット専業のソニー銀行の1月末預金残高が、
新規参入銀行で初めて1兆円を突破しました。

開業から7年弱で、地方銀行中位行並みの預金量に
到達したことになります。

高めの預金金利が個人マネーを引き付けているようです。

当初、私はソニーの社員10万人が全員100万円程度を預金すれば、
それだけで1000億円の預金は確保できるから、

ソニー銀行の預金残高が増えてきていても、
実態が伴っているかは疑問の余地があると感じていました。

しかし、預金残高1兆円となると、ソニーの社員一人当たりで
1000万円の預金が必要ですから、さすがにそれは無理があります。

一般の人の口座開設も確実に広まっていると見て良いでしょう。

電子銀行の特徴を活かし、安い両替手数料の実現や、
高い預金金利の設定が功を奏したのだと思います。

ただ、私がソニー銀行の好調さを感じているのには、
さらに理由があります。

それは、口座数がそれほど多くない約58万口座に過ぎないのに、
利益が出ているとすると、経営基盤がかなり堅固になってきて
いると思うからです。

※「主なネット銀行の預金残高と口座数 」チャートを見る

ソニー銀行で集めた資金をソニーに貸し出す可能性について、
懸念する人もいるかも知れません。

しかし、金融庁は以前から、あおぞら銀行が集めた資金を
東京海上やオリックスが利用するというような、

いわゆる「機関銀行」を嫌う姿勢を見せていますから、
ソニー銀行の経営についても厳しくチェックしていると思います。

その金融庁からのお咎めもないところを見ると、
ソニー銀行はきちんと外部に貸し出すことで運用益を出している
と見て良いでしょう。

そういう意味で、ソニー銀行の経営基盤は安定していると
判断することができると思います。

●ネット銀行の問題は、
　　　　　　　　銀行本来の重要な役割を果たしていないことだ

他のネット専業銀行の動向を見てみると、どこもソニー銀行ほど
上手くいっているところはないというのが、現状でしょう。

口座数最大のイーバンクは、256万口座を誇りながら、
14日に発表した2007年4―12月期連結決算は、
116億円の最終赤字になっています。

米サブプライムローン問題に絡んで損失が拡大したことも
一因だと言いますが、私としては首を傾げてしまいます。

サブプライムローン問題が免罪符になってしまい、
どんなことでも、とりあえずサブプライムローン問題のせいに
すれば許されるといった安直な印象を受けます。

仮に本当にサブプライムローン問題に原因があったとしても、
それは銀行の重要な役割の１つである貸し付けの能力が
低いことを露呈しているだけで、新銀行東京と同じく、
非常にみっともない話だと思います。

赤字に転落したイーバンクとは違い、利益は出ていますが
問題を抱えていると感じるのが、セブン銀行です。

セブン銀行の特徴は、利益は出ていますが、口座数も少なく、
預金残高も少ないということです。

これは、セブン銀行がデポジットテイキングに依存している
証拠です。

つまり、預金を集めて運用することで利益をあげているのではなく、
セブンイレブンなどのATMの使用料という決済手数料で
稼いでいるということです。

銀行の本来的な意味での大きな役割は、「預金」と「貸し出し」
と「決済」という3つの機能を果たすことです。

セブン銀行の場合、決済機能については問題ありませんが、
預金を集めてそれを貸し出すことで運用益をあげるという、
大切な役割を果たすことができていないのです。

このように他のネット銀行の動向を見てみると、
ソニー銀行が運用益で利益を出しつつ、預金残高1兆円を突破し、
預金者に対して高い金利設定を実現できているとするならば、
ソニー銀行の経営手腕については見事と言っておきたいと思います。

ネット銀行は、リアルな店舗を持たないという
コストダウンの分だけ、為替手数料を低くしたり、預金金利を
高く設定することは、比較的容易かも知れません。

しかし、そこだけに目を向けてしまって、預金を集めて
運用することで利益を出すという銀行本来の重要な役割を
失念してしまっては、本末転倒でしょう。

もちろん、利益をあげることは大切ですが、
どのように利益をあげているかという本質的な部分を
見落とさないように気をつけてほしいと思います。

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この大前研一のメッセージは、2月17日に
BBT757Chで放映された大前研一ライブの内容を編集したものです。

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