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独立行政法人
15法人の繰越欠損金を政府出資金で処理
総額5兆4679億円
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●一般競争入札ゼロ。
契約金額ベースでは指名競争入札でさえ、1%に満たない実態
会計検査院が9日提出した、2006年度の報告書の中から、
政府の事業を分離・独立して運営する独立行政法人で、
15法人の繰越欠損金を処理するために、
5兆円強に上る政府出資金が使われていたことが
明らかになりました。
政府出資金は国の毎年の一般会計からも支出する税金で、
欠損金処理後も再び赤字が積み上がっているケースもあり、
検査院は経営改善の努力を強く求めているとのことです。
独立行政法人に対して経営改善の努力を求めるのは、
もはや全くの無駄だというのが私の率直な感想です。
独立行政法人の予算についての仕組みを見てみると、
その呆れるばかりの実態をよく理解できます。
※「独立行政法人を巡る資金の流れ」チャートを見る
独立行政法人の業務のなかには、自ら執行せず、
民間会社に委託する業務もあります。
このとき、委託先の民間会社は、大きく2つに分類されます。
1つは、独立行政法人からの天下り先にもなる
「天下り先ファミリー企業」という民間企業。
もう1つは、「一般の」民間企業です。
問題なのは、「天下り先ファミリー企業」に対して、
随意契約という形で競争入札もないままに、
仕事と資金が流れる仕組みになっているということです。
この点について、以前から数度にわたって
競争入札を増やすよう、検査院から指導を受けていますが、
これが一向に改善されていません。
04年から06年の独立行政法人13法人の実態を見ると、
一般競争契約はゼロです。
指名競争契約にしたところで、契約件数ベースで
全体の約10%に過ぎず、さらに驚くべきことに
契約金額ベースでは全体の1%にも満たない数値なのです。
※「一部独立行政法人の契約方式と契約金額」チャートを見る
独立行政法人の予算は特別会計のため、
国会のチェックが一般会計よりも緩くなる傾向があり、
このような曖昧な予算組みに基づいた資金のほぼ100%が
天下り先に恣意的に流れるという構図にもなりうるのです。
これだけでも十分国民を馬鹿にした話ですが、
あまつさえ繰越欠損金が出て税金で補填するというのですから、
もはや呆れてモノが言えません。
●役人体質の改善は不可能。
根本的な仕組みを100%変えることが重要
このような状況に対して、独立行政法人の業績評価を
しっかり行うべきだと主張する人もいるでしょうが、
私に言わせれば、そもそも存続させるべきか疑問です。
独立行政法人には試験や基準作りをするという
大切な役目があると役人は主張するでしょうが、
役所が直接ルールだけを決めて
後は自由に民間に任せる方がずっと効率的な業務執行が
できるのは間違いないでしょう。
さらに根本的な部分を指摘するなら、
そもそも独立行政法人などというものは、
「天下り先を準備して予算を使わせる」という役人都合によって
成り立っているものだと私は思います。
なぜなら、天下り先を作り出してそこに予算を流していくことが
役人の目的であり、日本の役人の間では、それが評価される
ことだとしばしば言われているからです。
日本の役人に染み付いているこのような「体質」は、
もはや変えようがないものだと私は常々感じています。
ですから、独立行政法人を解体して再編成するなどという
「改善」手段に意味はないと主張しているのです。
そんなことをしても、また同じような天下りの仕組みを
作り上げようとするのが役人だからです。
「100%直に競争入札だけにする」という方法が
最もシンプルで効果があるでしょう。
今回の件は、独立行政法人に絡む問題の氷山の一角に過ぎません。
私の予想では独立行政法人による無駄遣いの総額では、
日本の国家予算を上回る可能性があります。
今後、ここに大々的にメスを入れていかなければ、
一方でプライマリーバランスを均衡させようと努力しても、
それが無駄骨を折る結果に終わってしまうのではないかと
懸念しています。
以上