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ノルウェー年金制度
年金満額受給年齢を引き上げ方針
62歳から67歳へ
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●ノルウェーの官製ファンド(年金ファンド)は世界有数の大きさ
ノルウェーのハルボーセン財務相は日本経済新聞との会見で
「2010年から満額年金を受給できる年齢を62歳から67歳に
引き上げる」との方針を明らかにしました。
働く高齢者が増えるよう促し、労働力不足を補う狙いとのこと。
産油国のノルウェーは財政に余裕がある一方、
好景気で労働力が不足しているため、「高齢者と女性の
就労拡大を政策の軸に据えたい」という構えです。
このノルウェーの事例は、
非常に好感が持てる対策だと私は思います。
満額年金の受給年齢を引き上げる理由が、年金を支払うことが
できないからではなく、まだまだ高齢者の人にも
働いてもらいたいという積極的な理由によるものだからです。
世界の官製ファンド(SWF)の資産高を見てみると、
1位:UAE(8,750億ドル)
2位:シンガポール(4,300億ドル)につづいて、
3位:サウジアラビア(3,000億ドル)、
ノルウェー(3,000億ドル)、中国(3,000億ドル)
と、なっています。
※「官製ファンド(SWF)の資産高」チャートを見る
中国などは、先日も約3300億円(30億ドル)で
米国投資会社の株を取得したことがニュースなどで
取り上げられるなど、
最近の世界経済において存在感を高めている国の代表例ですが、
ノルウェーという国が登場するのは珍しいと感じる人も
いるかも知れません。
ノルウェーという国の年金ファンドの強さは確固たるものです。
また、年金が支払える余裕があるうちに、
このような次の一手に打って出たというのは、
国民の不安・不満もないでしょうし、見事な政策だと
言って良いと思います。
●政府運用(官製ファンド)の見本のような運用実績。
ノルウェー政府の年金基金の資産額と運用成績を見ても、
危ういと感じるところはありません。
01年から02年のITバブルの崩壊によって、多少の躓きは
ありましたが、それでも、資産総額は97年からの10年間で
約16倍に増えてきています。
また、運用成績もバブル崩壊時にはマイナスに転じていますが、
全体を通して見れば、約7%~8%での運用を達成しています。
※「ノルウェー政府年金基金の資産額と運用成績の推移」チャートを見る
官製ファンド(SWF)としての年金ファンドの運用というのは、
政府(国家)にとって非常に大きな事業と言えます。
ITバブルの崩壊という危機を経験しながらも
それを乗り越えたことは立派だと思います。
そして、今回余裕があるうちに受給年齢を
満67歳まで引き上げたことで、望むならば満額になる前から
少しずつ年金をもらいながらも働き続けられるということを
可能にしたのは、非常に意義があります。
年金問題に揺れる日本政府にも、このノルウェーの
年金運用の姿勢をぜひ見習ってもらいたいところです。
以上