- 本文の内容
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- シャープ 鴻海・郭氏、思い届くか
- 山崎パン 「ナビスコ」ライセンス契約を8月末で終了
- アサヒグループHD 英SABミラー傘下の欧州ビール事業を買収
- 米インテル インテル「3本の矢」育つ
鴻海はシャープが求める誓約書など無視するべき
日経新聞は10日、「鴻海・郭氏、思い届くか」と題する記事を掲載しました。これは、シャープ買収へ並々ならぬ意欲を見せてきた郭台銘董事長は、資本提携が破談となった2013年以降も買収の機会を探ってきたと紹介。
前回の反省から今回はいつもの強硬姿勢を抑えて交渉に挑んでおり、郭氏の5年ごしの悲願がなるか注目が集まっていると報じています。
郭台銘氏の悲願につけ込んで、シャープ側の態度が図々しくなり過ぎていて、私は呆れ返りました。産業革新機構からは、1万人のレイオフ・経営陣の退任を突きつけられたシャープでしたが、鴻海には逆に、人員削減、経営陣の退任や事業の切り売りをしないよう誓約書の提出を求めたそうです。
厚顔無恥も甚だしい限りです。経営陣など、自分たちの経営に問題があったために今の状況を招いたというのに、このような条件を出すとは信じられません。
これだけでも、今のシャープには未来がないと感じます。
先日、「シャープにプライドはないのか」というタイトルで夕刊フジに私の意見が掲載されました。
なんと、それを読んだ郭台銘氏から、お礼メールを受け取りました。おそらく、今はかなり神経質になって様々な情報をキャッチしているのだと思います。
郭台銘は40歳未満の雇用は守ると公言していますが、それ以外の場合はケース・バイ・ケースでしょう。これ以上、細かいことは発言しないほうが良いと思います。あまりにシャープ側が図々しいなら、勝手にしろと突き放しても良いと私は感じます。
それほど、シャープ側の態度はひどすぎます。
ブランドを持っているからといって、自分勝手過ぎる
山崎製パンは12日、「ナビスコ」ブランドを保有する米モンデリーズ・インターナショナルと結ぶライセンス契約を8月末で終了すると発表しました。これにより、ビスケット菓子「オレオ」や「リッツ」など4ブランドは、9月からモンデリーズ社の日本法人が販売するということです。
バーバリーを長年日本で根付かせてきた三陽商会も契約を切られましたが、まさしく同じような状況だと思います。ヤマザキナビスコは40年以上にわたって、非常によくやってきたと思います。
2000年、米クラフト・フーズがナビスコと事業統合し、北米以外のスナック事業をモンデリーズ・インターナショナルとして分社化しました。この会社が、日本の自社展開を目指し、山崎を切るという判断をしました。しかも、山崎側には、販売は自分たちでやるから「下請けとして製造だけやってくれ」とオファーしたそうです。
山崎は断ったとのことですが、当然だと思います。山崎の売上高は約1兆円で、今回ライセンス契約が終了するお菓子の売上は150億円程度ですから、それほど大きくはありません。ただし、利益で見ると全体の10%を占めているそうなので、かなり儲けている分野です。
今後は、ヤマザキビスケットとして再出発するそうですが、ぜひ失地回復をして欲しいと思います。
三陽商会を切ったバーバリーも、今回のモンデリーズも、ブランドを持っているからと言って、あまりに勝手気まま過ぎます。私は許しがたいことだと思います。ヤマザキビスケットの将来を応援したいと思います。
アサヒの欧州ビール事業買収額3300億円は、高すぎる
アサヒグループホールディングスは10日、英ビール大手SABミラー傘下の欧州ビール事業の一部を買収することで合意したと正式発表しました。買収額は約3300億円で、アサヒは欧州市場を足がかりに海外事業を強化する考えです。
買収した、イタリアの老舗「ペローニ」はイタリアのトップシェア(17.4%)、オランダ「グロルシュ」は3位(13.9%)、英クラフトビール「ミーンタイム」、英ビール販売会社「ミラーブランズ」です。買収4社の売上合計は1296億円で、アサヒの国際事業全体の売上高が4000億円強になります。
国内売上は約9000億円ですが半分は税金ですから、ほぼ同レベルになるということです。また、現在は海外でほとんど利益は出していませんが、買収後のEBITは110億円になります。
110億円の利益はありがたいことですが、110億円に対して3300億円という買収額は高すぎます。利益に対して買収額が30倍以上になっています。普通なら12~13倍ですから、随分高い値段をつかまされたということでしょう。
マイクロソフト依存体質から脱却したインテル
日経新聞は9日、「インテル『3本の矢』育つ」と題する記事を掲載しました。これは、データセンター、IoT、メモリーの3分野に重点投資により、3事業の営業利益の合計が2015年にPC事業を初めて上回ったと紹介。縮小が続くパソコン市場に依存していた体質からの脱却を図る取り組みが功を奏したということです。
"Intel Inside"として、マイクロソフトと共に歩んできたパソコン戦略。マイクロソフトに頼りきりでしたが、軸足をずらし始めています。
クライエントコンピューティング、パソコン事業は依然として利益は出ています。加えて、データセンター事業が利益を出せるようになり、IoTもそこそこ利益が見込めるようになってきています。
「マイクロソフト様様」だったインテルが、そこから脱却しつつ新しい事業展開を模索しているこの戦略は非常に参考になる事例だと思います。日本の半導体メーカーは一本調子で、全部足しても負けるという状況ですから、ぜひ参考にしてほしいと思います。
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※この記事は2月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はインテルの話題をお届けしました。
3事業の成功により、パソコン市場から脱却した同社。大前は、日本の半導体メーカーが参考にすべき事例と紹介しています。
縮小する一つの市場に頼っているだけでは、長期的な成長は期待できません。更なる成長のためには、複数事業の展開も視野に入れる必要があります。
自社の強みを把握し、それを活かすことのできる事業戦略を描くことが、問題解決につながっていきます。
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