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- アベノミクス 2015年度補正予算案を指示
- 家計調査 10月の消費支出
経営の「ケ」の字も知らない政治家による政策
安倍首相は27日、2015年度補正予算案の編成を指示しました。10月に大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)の国内対策や、一億総活躍社会の実現に向けた政策が柱で総額は3兆円台となるとのこと。
低所得の年金受給者に3万円程度の給付金を支給するほか、地方創生のための交付金を最大1000億円計上する見通しです。
民主党の岡田代表は安倍首相の方針に対して「選挙対策のばら撒き」だと批判していましたが、ばら撒きかどうかは別としても、これらの政策に効果を期待することはできないでしょう。
年金受給者は賃上げ対象になりません。一時的に3万円支給したところで、将来が不安なセグメントに属する人たちですから、そのお金は貯金しておしまいでしょう。
この対策で消費につなげようというのは無理です。マーケットにお金が出てくる可能性はありません。
また、担当大臣として地方創生に取り組んでいる石破氏も効果を出せていません。交付金1000億円といっても、1800の市町村で配分すれば1億円にも満たない金額になってしまいます。
交付金補正予算というわりには、刺激効果は全く期待できないものばかりで、どこかに少しお金が貯まるだけで終わりでしょう。
3年間で時給を1000円に、という対策にも首を傾げるばかりです。確かに日本の時給は先進国に比べると低くなっています。米国の最低賃金が時給12ドルほどで、日本は東京で900円代、徳島、沖縄など低い地域になると600円代です。
しかし、現実で言えば600円代の時給でも応募はありますし、生活費が違うので成り立つのです。私も九州でエブリデイドットコムを経営していたのでその実情を知っています。
全国一律で時給を1000円にするというのもおかしな話ですし、国が主導する意図が理解できません。600円代から見れば50%以上の値上げになりますから、負担はかなり大きくなります。
するともしこの政策を実施するとなれば、企業側の対応策は「人減らし」でしょう。それ以外にはほぼ考えられません。
国はこの企業行動を理解できているのでしょうか?経営の「ケ」の字も知らずに、選挙対策のために耳障りが良さそうな政策を並べるのはいい加減にやめてもらいたいと思います。
個人消費が落ち込む事実を無視してアベノミクス第2幕
総務省が27日発表した10月の家計調査で、消費支出が2カ月連続の減少となったことがわかりました。自動車やテレビパソコンの購入が落ち込んだことが原因とのことです。
一方、10月の失業率は人手不足などを背景に3.1%と20年3カ月ぶりの低い水準となり、雇用改善が消費に結びつかない状況が続いています。
安倍首相の言葉を借りれば、「アベノミクス第1幕で景気が良くなり、雇用も増えて失業率も減った」ので、「アベノミクス第2幕としてGDP600兆円・待機児童ゼロ・介護離職ゼロなどを目指していく」ということですが、アベノミクス第1幕の柱でもあった「物価上昇率2%」はどうなってしまったのでしょうか。
個人消費はGDPの6割を占めます。その重要な指標である個人消費が2.4%減少しているというのに、これについては一切回答していません。
2回目の首相就任から3年目を迎えても一向に効果が現れないまま、アベノミクス第2幕に突入するというのですから、何とも驚くばかりです。
消費支出の内訳を見てみると、授業料などの教育費が「-13.4%」と大きく削られています。その他、自動車関連費:-7.5%、保健医療:-7.0%なども比較的大きな減少が見られます。
一方で、設備修繕・維持、家賃など住居関連費は7.9%増加しています。財布を預かる立場で考えれば、どこかを削らなくてはならないとすれば、このような結果になるのは頷けます。そして、消費支出は全体として前年比で2.4%減少しているわけです。
このような事実にも関わらず「効果があった」と語る安倍首相は、一体何を考えているのか。すでに私の理解の範囲を超えています。
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※この記事は11月29日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はアベノミクスに関する話題をお届けしました。低所得の年金受給者に対し、給付金を支給する政策を打ち出した安倍首相。これに対し、大前はマーケットにお金が出てくる可能性はないと指摘しました。
顧客の本当に求めていることを理解しないままでは、施策の効果を出すことはできません。そのセグメントはどのような特徴があるのか?この視点を持ち、観察を行っていく必要があります。
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