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三洋電機
半導体事業の最終入札1,000億円下回る
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●三洋電機の生き残る道は、「三洋電池」になること
経営再建中の三洋電機が、国内外の買収ファンドと進めていた
半導体事業子会社の売却に向けた最終入札が
先月31日に実施されました。
提示された買収価格は、最終入札額で1,000億円を下回りました。
私は、以前から今の三洋電機では最終的には
電池・バッテリー以外の事業は全て売却して、「三洋電池」に
なってしまうだろうと予測していましたので、
今回のニュースにもそれほど驚きはありません。
ここ数年、売上は04年3月期の約2兆5千億円から減ってきています。
※「三洋電機の連結業績推移」チャートを見る
おそらく事業の半分くらいを売却することで
黒字転換する見込みではないかと思います。
半導体事業以外でも、すでに主力事業の携帯電話事業は
京セラへの売却をほぼ決定していますし、白物家電・テレビは
採算が取れないため国内量販店から撤退が決まっています。
※「三洋電機の事業構成と構造改革案」チャートを見る
結局、生き残るためには、
「三洋電池」=充電・バッテリーの会社になるという道を
歩まざるを得ない状況に陥っているというのが、
現状の三洋電機を取り巻く状況なのです。
●原因は製造業の国際的再編ではなく、経営力不足だ
このような事業再編に対して、国際的な潮流として、
これまで部品から最終製品まで作ってきた製造業大手が
独自の得意分野に特化する再編が始まったと
感じる人もいるようです。
例えば、ソニーがゲーム機のプレイステーション3(PS3)の
心臓部に使う「セル」など最先端半導体の生産から
事実上撤退し、その製造設備を東芝に売却する方向で
交渉に入っているのも同じ流れに乗っていると思われています。
しかし、私はそうは思いません。
ソニーの例を見ても、元々共同開発をしていた東芝に、
自分たちが苦手とする分野なので譲ったという程度であって、
大きな潮流としての国際的再編に位置づけられる
というものではないと思います。
三洋電機にしたところで、
今の状況に追い込まれてしまったのは、私は経営陣の力不足が
大きな原因だと感じています。
事実、経営再建に追い込まれた今になっても、
水を使わない洗濯機のような画期的な製品を作り出せるほどの
優れた技術力を持っているからです。
高い潜在力を持ちながらも事業を切り売りせざるを得ない
という現実は、国際的再編という外的な要因ではなく、
まさに経営力不足という内的要因に起因するところが
大きいと私は受け止めています。
これまで発展を続けてきた日本の製造業にとっても、
あらためて経営力を問われる時代になってきて
いるのだと思います。
以上