大前研一「ニュースの視点」Blog

KON578「任天堂・堀場製作所~任天堂はスマホゲーム化を推進せよ」

2015年7月24日 任天堂 堀場製作所

本文の内容
  • 岩田聡氏が死去 2002年に任天堂代表取締役社長
  • 堀場雅夫氏が死去 堀場製作所最高顧問

任天堂の経営課題は、とにかくスマホゲーム化を推進すること


任天堂社長の岩田聡氏が11日、胆管腫瘍のため死去しました。55歳でした。

岩田氏は大学卒業後、後に任天堂の子会社になるゲームソフト開発会社「ハル研究所」に入社し、凄腕のプログラマーとして知られ、「星のカービィ」など数多くのヒット作を世に送り出しました。

任天堂は黒字転換を果たしたものの、売上は減少傾向にあります。今後、誰がどう引き継いでいくのかは大きな課題と言えるでしょう。

岩田氏は、故・山内氏から任天堂の社長を引き継いだのが42歳の頃。山内氏から引き継いだという「使命感・責任感」もあり、おいそれと後継指名をできなかったのかも知れません。

任天堂は山内氏が社長の頃は、天才クリエイターとして宮本茂氏(現 専務取締役)が活躍していました。その後岩田氏が社長になって、DSやWiiといった新しいコンソールを発売。これが大ヒットして、任天堂は時価総額2兆円規模まで大きくなりました。

しかしこのときの成功体験が裏目に出て、「(新しいコンソールでの成功という)夢をもう1度」という想いが強すぎて、
スマホゲームへの参入が遅れました。

世の中がスマホゲームへ傾斜していく中、明らかに任天堂の舵取りは遅すぎました。

ようやくディー・エヌ・エーと提携し、スマホゲーム化への道を歩み始めましたが、この分野になると竹田氏(現 専務取締役)も宮本氏(現 専務取締役)も難しいかも知れません。

世界的に最も有名なのは宮本氏でしょう。数々のヒット作を生み出し、ものすごい実績を上げている人です。

宮本氏が社長になるのが順当な人事だと言えますが、あまり「経営」は得意な方ではありません。

また、とにかく「ゲームを作りたい」という想いが強く、長い間課長に留まっていたという人です。

今、任天堂という「会社」をまとめられるのは、事務方とも言える君島氏(現 常務取締役)だと私は思います。

任天堂にとって今最も重要な経営課題はディー・エヌ・エーとの提携を実行に移し、スマホゲームを完成させることです。

現時点では、提携が空中分解する可能性もありますから、とにかくいち早く軌道に乗せることが重要だと思います。

任天堂には古いゲームでもスマホ化すればヒットしそうなコンテンツがたくさんあります。

クリエイターとしての手腕がなくとも、事務方の経営者として「ディー・エヌ・エーとの提携」を軌道に乗せること、それが今任天堂に求められていることだと私は感じています。


堀場雅夫氏 後継者へのバトンタッチが早く、見事だった


計測機器メーカー、堀場製作所の創業者で最高顧問の堀場雅夫氏が14日、肝細胞がんのため死去しました。90歳でした。

堀場雅夫氏といえば、非常に面白い人という印象が強く残っています。「おもしろおかしく」をモットーにしていて、今でも堀場製作所の合言葉になっています。

堀場雅夫氏が見事だったのは、息子の厚氏に早々と社長を譲り、自らは会長職でもなく最高顧問という立場にとどまり、後継者問題を抱えなかったことでしょう。

この点、同じような境遇にあるスズキの鈴木修氏とは大きく異なります。自分の目が黒いうちに引き継いでおけば、自らが助手席にいて、隣に座る後継者を指導してあげることもできます。

鈴木修氏の場合、今必死に後継者を育てようとしていますが、明らかにタイミングを逸したと言わざるを得ません。

堀場雅夫氏は、非常に個性的で主張が強い人でしたが、経営の引き継ぎはスムーズで見事でした。堀場製作所は現在も順調な経営を見せており、すばらしいと思います。

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※この記事は7月19日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は任天堂に関する話題をお届けしました。

記事中、大前は任天堂のキーパーソンがどのような人物であるかを交えながら、スマホゲーム化を推進すべきと解説しています。

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