大前研一 著  「考える技術」(講談社)より抜粋
 
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フィールドインタビューから新たな仮説が生まれる

フィールドインタビューは、全国をぐるっと回って1カ月ほどかかる。私がすべてを回りきれない場合には、インタビューの段取りを指示したガイドを作り、スタッフと手分けして全国を回る。こうしてインタビューが全部終わる頃には、現場の問題がほとんど手に取るようにわかり、経営者も知らないような生の情報を手にすることができる。

この例でもわかるように、コンサルタントという職業は、組織をピラミッド構造にすると失敗する。組織のトップが椅子に座ったままで、下に現場を見ているように指示を出すだけでは、現場の本当の姿が見えないからだ。私の仮説に対するひらめきは、現場で話をしているときに生まれることが多い。したがって、少なくとも十分な仮説が出てくるまでは、自分が現場に出なくてはならないのである。それを定量化するのにスタッフを使うことはできるが、仮説そのものを導き出すのを部下に頼ってしまっては価値あるものが出てこない。じつは、これはコンサルティングだけでなく、企業の経営にも言えることだ。


フィールドインタビューは、あらゆる論理的思考の基になる

問題の中には、ある程度情報の分析だけで結論がみえてくるようなものもたしかにある。しかしその場合でも、結論を出す前に必ず現場で実証することが必要だ。そして、自分の感覚で「この結論で絶対に間違いはない」という信念を持つまでは、足を棒にして歩かなければならない。実際に私は、企画室の中で数字を見ながら結論を出したことは一度もない。

こうしたフィールドインタビューは、問題解決に必須なだけではない。あらゆる論理的思考の基になる大切なものなのだ。


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