| 大前研一 著 「考える技術」(講談社)より抜粋 |
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本当の原因を探るフィールドインタビューの技術 この事実がわかったら、私はその瞬間に現場に出ていってフィールドインタビューを行う。対象は営業所長ではなく、最前線の営業マン。管理職に話を聞いたところで、巧みな言い訳や愚痴が出てくるのが落ちで、営業の現場を知るうえでは何の役にも立たないからだ。 このとき営業所長には、私から向かって右側に勝率の非常に高い営業マン、左側に勝率の低い営業マン、真ん中に平均点の営業マンを座らせるようにあらかじめ頼んでおき、三人一組でインタビューを行う。誰が成績が良く誰が悪いかを知ったうえで、「あなたはこの商品をどうやって売っていますか」と彼らに質問することで、売っている営業マンと売っていない営業マンの違いがわかるからだ。じつはこの段階で、すでに原因の分析と同時に改善策を見つけるためのインタビューになっている。 当の営業マンたちはその並び方に意味があることを知らないから、売れない営業マンもじつに論理的にもっともらしい話をする。私の経験から言うと、往々にして営業成績の悪い営業マンほど「いかに商品が悪いか」という説明がうまいものだ。たとえば「使っている時の音がうるさい」とか「製品のサイズが今のオフィスの事情に合っていない」という具合に、売れない理由を滔々と述べる。しかし、それらは彼らが普段お客さんに言われていることであって、客の不満を商品が売れない言い訳にしているにすぎないのである。 一方、売れている営業マンは言い訳をしない。「たしかに音はしますが、仕事中はオフィスの中が騒然としていますから、机のすぐ隣に置くのでなければまったく気になりませんよ」とか「他社の製品はどうですか?このクラスだとかえてうちの製品のほうがコンパクトなんですよ」などと、すぐに切り返せる営業トークを持っているものなのだ。 もし彼らの営業成績を知らずに漫然と話しを聞いていたら、売れない営業マンの「言い訳」を「現場の声」として鵜呑みにしてしまい、とんでもない結論を出してしまうことにもなりかねない。 仮説はフィールドインタビューで検証せよ こうしたフィールドインタビューを行うために、私は足を棒にして全国を歩く。フィールドインタビューは、大都市型の場所や郊外型の場所、田舎型の場所というようにタイプを分けて行う。そうすると、売れる人間と売れない人間の違いが何かが、非常にはっきりとわかってくるからだ。 ここで確認しておきたいのは、「売れない原因は少なくとも商品ではない」というのは、この段階ではまだ「仮説」にすぎないということだ。この仮説は「商品に原因があるのなら、8割勝つ営業マンがいるはずがない」ということが前提になっているが、実際に現場を歩き、インタビューすることで、検証というプロセスを踏むことができる。そして結論を裏付ける結果が得られれば、仮説を結論とすることに信念を持てるようになるのである。 と同時に、営業マンの多くが8割勝てるようにするにはどうすればいいのか、どんな訓練をし、システム的にどんなサポートをすればいいのかということを考える。これは、次の段階である解決策の提案のために必要な作業だ。 |
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