大前研一「ニュースの視点」Blog

KON534「地方創生・安倍首相~人口減少の過程で何があったのか?」

2014年9月12日 問題発見 地方創生

本文の内容
  • 地方創世 :まち・ひと・しごと創世本部が本格始動
  • 安倍首相 :最大の課題は豊かで明るい地方をつくること

国家が主導して再生した田舎はない


安倍政権が重要課題に掲げる地方創生の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」が5日、本格始動したとのことです。

全閣僚が参加する初会合を12日にも開き、今月半ばから首相と関係閣僚を加えた有識者会議で具体策の検討に入るそうですが、これは「最悪の戦略」だと私は思います。

まず世界を見渡してみても「国が主導して」田舎を再生できた例はほとんどありません。私が知るかぎりで言えば、フランスのラングドッグが唯一の成功事例です。

私はUCLAで地域国家論の授業を担当したこともありますが、都市に人口が集中しすぎるという「都市問題」は、世界中の全ての国に共通するテーマ・問題です。

ゆえに、世界中の国がどのようにすればよいか?を考えて対処しようと試みています。

しかし、国策として取り組んで田舎を再生できた国は、ほとんどありません。では田舎は再生できないのか?というと、そんなことはありません。

田舎の再生というのは「国が主導」して成功するものではなく、「自然に」成功するものなのです。米国のバーモント州やニューハンプシャー州などは、国が経済的に投資することもなく、長い間「放って置かれた」状態でした。

放って置かれたゆえに、「昔ながらの風景」がそのままに残っていたのです。何かのタイミングで、そういう自然を求めて人が集まるようになってくると「自然に」再生することがあるのです。世界の事例を見ても、田舎が再生する理由のほとんどは「何もしなかったから」です。まず、この事実を知る必要があるでしょう。



補助をするべきは、第2次産業。雇用創出しなければ意味がない


先日、佐渡へ行く機会があり、そこでもこの都市問題に直面しました。かつて12万人だった人口が半減し、6万人になってしまったというのです。

理由を聞くと明確で、かつては携帯電話の組み立て工場などがあり、若者が働く場所があったけれど、最近はそうした組み立て産業もなくなってしまったそうです。

働き口がなければ、若者は本土へ行かざるを得ません。このままでは、佐渡に「発展の絵」を描くことは不可能でしょう。

このような状況に対して、地方創世と称して国が推し進めようとしているのは農業補助です。

日本は世界最大規模の農業補助を行っている国です。しかし、農業補助をいくら充実させても、佐渡の例に見たような「雇用」問題を解決することはできません。ここに大きな問題があります。

農業ではなく、もし佐渡に製造業が戻ってくるなら雇用創出にもつながるでしょう。例えば、製造業への補助金を出して中国と勝負できるくらい価格競争力を持たせることができれば、大きな意味があるはずです。

すなわち、補助すべきは農業(第1次産業)ではなく、雇用創出につながる第2次産業なのです。

安倍総理が農業補助を叫んでいるのは、選挙対策でしょう。農民票を獲得するための政策だと私は見ています。

皮肉な言い方をすれば、地方に雇用創出をして地方創世をするためではなく、「自民党の」雇用創出をするための施策だと言うことです。非常に情けない限りです。



今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今回は地方創生に関する話題を中心に取り上げました。

記事中、大前は佐渡でのインタビューを事例に挙げ、地方の人口減少の原因と、農業補助政策の誤りを指摘しています。

減少するプロセスで一体何があったのか?

いま起こっている問題の原因を把握するためには、時間の流れで情報収集・整理をすることが有効です。

問題解決に向けた最初のステップは、このように問題を発見するところからスタートします。

「正しい情報収集・整理のスキルを鍛える」
問題解決力トレーニングプログラム(大前研一総監修)
http://www.lt-empower.com/

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