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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON157 道州制度の本質理解で、小さな国・政府の実現を

2007年4月6日

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道州制
第1次提言を発表 ~経団連~
現在の47都道府県を10程度に統合
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●道州の単位は、産業基盤としての単位として考えるべき


3月28日、日本経団連は、
道州制に関する第1次提言を発表しました。


国の役割を外交・国防、金融など必要最小限に限定、
現在の47都道府県を全国10程度の道州に統合し、
雇用・教育政策などの権限と税財源を幅広く移譲するとのこと。


この構想は、私が今から約15年前に初めて道州制を
提唱したときの提案内容と、ほとんど同じになっています。


約1,800ある市町村は300~500の基礎自治体に再編するとの
ことですが、私は当時3,300の市町村を300もしくは400に
再編するべきと提案していました。


道州そのものの数は、私が提唱した「11」という数字と
若干異なっていますが、ほとんど同じと見ていいでしょう。


この違いを生んでいるのは、私は沖縄を九州に含めずに、
独立させるべきだと考えている点です。


なぜなら、沖縄を九州に含めても産業基盤として
上手く馴染めないだろうと私は見ているからです。


道州の単位を考える際には、単に市町村や都道府県の
合併したものとして捉えてはいけないと私は思っています。


あくまで、産業基盤としての単位として考えるべきです。
ですから、四国と中国は同じ道州にするべきかという議論にも、
四国は切り離して1つの道州とするべきだと即答します。


四国自体がデンマーク並みの大きさを誇っていて、
十分に産業基盤として独立できると思うからです。



●政府・国の考える道州制は別物。
           それを認識した上での推進に期待したい


先ほども述べたように、道州の下部単位である基礎自治体の
数についても、経団連の見解は私の提案と同じです。


私が提唱した約300~400の基礎自治体を形成すると、
1つの自治体当たり、人口は約30万人になります。


人口30万人くらいの単位が、生活基盤としてのまとまりとしては
最適だろうと私は思います。


つまり、役割分担としては、基礎自治体が生活基盤を担い、
道州が産業基盤を担い、国は外交・国防、金融などを担う形に
移行していくのが、理想的だろうと思います。


今回の経団連の提案を見ていると、見解は私とほぼ一致して
いると思います。


15年も前に私が提案した内容と同じかと思うと、
今まで何をしていたのかと思う反面、ぜひ推進してもらいたいと
強く感じています。


この提案を推進するにあたっては、現在の政府の道州制に対する
見解が、経団連や私のそれとは違っていることを
念頭においたうえで物事を進める必要が出てくるでしょう。


現在の政府の見解は、市町村合併の延長線上としての
道州制という見方です。


私が考えている「自ら世界のお金を呼び込み、産業基盤として
独立できる単位」としての道州制とは大きく異なりますし、
政府・国は、その権限の縮小もそれほど
想定していないと思います。


道州制という制度のメリットを本質的に理解していればこそ、
道州制の制度導入を推進する上で政府・国との軋轢も
生じてくるとは思いますが、経団連には
ぜひ頑張って頂きたいと思います。


                                 以上


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