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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON516「ITサービス大手・NTTドコモ~グローバル社会で競争に勝つ方法を考える」

2014年5月9日


ITサービス大手 IT再編、日印連合が号砲

NTTドコモ インド携帯電話事業から撤退


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▼ 日印同盟というより、タタに取り込まれたというべき

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日経新聞は、先月24日、国内IT業界が異例の再編に

色めき立っているとし、三菱商事とインドのITサービス最大手

タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)が日本の事業を

7月に統合することを紹介しています。


日印連合などと報じられていますが、

実質的には三菱商事がタタの傘下で細かくやってきた

事業を取り込まれたという形でしょう。


タタ側からしても、三菱商事の関連事業を

取り込めるのは非常に有利になると見ていると思います。


三菱商事としては、タタと組むことでシステムも

近代化できますし、タタの助けを借りて

一気に事業展開を進めていきたいという算段でしょう。


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▼ 2兆円を捨てたNTTドコモは、いつになったら学ぶのか?

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NTTドコモは先月25日、インドの携帯電話事業から

撤退すると発表しました。


加藤社長は「インドはこれからも伸びると思うが、

成長性は当初の見通しほど高くない」

と述べているということです。


NTTドコモというのは、何とも中途半端なことばかりを

繰り返している会社です。


今回の件も自ら全部やればいいのに、契約件数でトップ3

から大きく引き離されているタタ・テレサービシズに

中途半端に4分の1ほど出資したものの、

結局は業界6位で終わっています(2012‐13年度実績)。


NTTドコモの海外出資の歴史を見ると、ひどい有様です。


KPNモバイルの5000億円(2000年出資・2005年売却)、

ハチソン3GUKの1900億円(2000年出資・2005年売却)、

AT&Tワイヤレスの1兆1000億円(2000年出資・2004年売却)

となっていて、約2兆円が全て水の泡になっています。


今回発表されたタタ・テレサービシズにも、

すでに2600億円出資していますが、

これも同様に全くの無駄に終わることになります。


約600億円~650億円という少額出資先である

KGテレコム(台湾)とKTフリーテル(韓国)については

出資継続予定ですが、結局のところ技術援助をしただけで

終わりになるのではないかと思います。


NTTドコモは、これまで一貫して、ソフトバンクの孫社長とは

違って100%出資しない方針を貫いてきていますが、

私に言わせれば「経営する気がないなら、カネを払うな」

と思います。


キャッシュが豊富にあるからできることですが、

未だにこれだけの資金を無駄にしても気づかないのかと思うと、

情けない話です。


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