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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON505「気象異変・診療報酬~不確実な現象に備えた対策を考える」

2014年2月21日


気象異変 世界に波紋

診療報酬 診療報酬改定を答申


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▼ 気象異変がどうかよりも、現実的な対策と準備を

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米国を断続的に襲う寒波、日本での度重なる大雪に加え、

世界各地で「異変」が起きています。


英国は記録的な大雨に見舞われ、南米は高温・乾燥に直面。


今のところ生産活動への影響は限定的ですが、

コーヒー豆などの国際価格にも上昇圧力がかかり始めています。


米国の寒波も凄まじいものがありました。


また英国の南部の洪水も内陸30キロ付近まで水没するなど、

高波と呼べるほどの規模のもので、私も初めて見ました。


地元の人ですら、初体験というのですから、相当なものです。

海水の塩分にやられて、農作物に影響が出てしまいました。


その他、南米や日本でも異常気象と言われるような現象が

発生していますが、果たしてこれが本当に「異常」なのか、

それとも数年に一度はこのようなことが起こるのか、

正確には、実態は明らかになっていません。


ただ何にせよ重要なのは、こうした経験を踏まえて

「準備」を進めることでしょう。


こうした気候が続くとすると、首都圏の鉄道、高速道路、

空港は脆弱すぎます。


しかし、技術的に対応することは可能なはずです。


例えば、米国では最低気温が「マイナス20度~40度」に

達するウィスコンシン州ミルウォーキーの空港が、

きちんと稼働しています。


今回の大雪で、東京電力の電線が雪の重さに耐えられず

停電したり、東横線では雪でブレーキが効かずに

事故が発生したりしています。


おそらく雪が電車の構造内に入ってしまう仕掛けに

なっているのでしょうが、技術的には十分対応できるはずです。


事実、新幹線は東北地方など雪が多い地域でも

走っているのですから。


気候が「異常」か否かを議論するよりも、

現実的に影響があるのですから、そこに目を向けて

「準備」を進めることが重要だと私は思います。


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▼ 主治医制度ではなく、パーソナルケアに目を向けるべき

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中央社会保険医療協議会は12日、

診療報酬の2014年度改定を決定し、田村厚労相に答申しました。


消費増税に併せて4月から初診料を120円、再診料を30円

引き上げるのが柱で、全体で0.1%の増額改定となります。


国民医療負担費が40兆円規模になり、

確かに大きな負担になっています。


この20年で約2倍の規模になってしまいました。


入院、外来、薬の処方などを抑える方向に

動いていくというのは、必要があると思います。


ただ、「主治医」制度を新設するなど

在宅医療を促すという方針には、少し不安を感じます。


英国などでも主治医制度は導入されていますが、

必ずしも上手く機能していません。


主治医が気に入らないなど、

トラブルも多く発生しているからです。


主治医という発想だけでなく、

ドイツを参考にして「パーソナルケア」などにも

目を向けるべきだと思います。


ドイツのパーソナルケアという制度では、

例えばリスクが高くない医療行為であれば、

個人が自分自身で実施することができます。


そのためのホームケア、パーソナルケアの道具が

たくさん揃っています。


例えば、採血までは自分がやって、それを病院に送ると、

病院から必要に応じて連絡が入るという流れになります。


日本では医師以外に認められた医療行為は

非常に限定的なので、当然、

このような検査も限られたことでしか実施できません。


医療行為の中でも、慣れた患者や定期的で

簡単なものであれば、個人が実施することは可能だと思います。


私も数回痛風になったことがあるため、

20年間にわたって痛風の薬を処方してもらっていますが、

毎月同じ処方してもらうだけで非常に手間がかかっています。


本当に重要な事は、個人にイニシアティブを取らせることです。


ないしは、誰か患者をケアする人がいるのなら、

その人が医師に代わって簡単な医療行為を

行ってあげられる仕組みを作ることでしょう。


単に価格を改定し、主治医の制度を、

というだけでなく、このような点まで

踏み込んで考えてもらいたいと思います。

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