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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON501「インターネット課税・国富・シニア消費~顧客の特性を理解する情報収集法」

2014年1月24日


インターネット課税 海外ネット配信に課税へ

国富 国全体の正味資産 2012年末に微増

シニア消費 伸び鮮明


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▼ インターネット課税の実現には、相当なパワーが必要

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政府は海外からインターネットを通じて日本に配信される音楽や

書籍などへの消費課税を2015年度にも始める方針を固めました。


欧州連合(EU)を参考に日本の個人向けにネット配信する

海外企業に国税当局への登録を義務付け、徴税する予定。


2015年10月に予定する消費税率10%への引き上げに

間に合わせる見込みとのことです。


日本は税収が不足しているので、それを補いたい気持ちは

よく理解できます。


ただ欧州ではいち早く導入されている制度ですが、

受け入れられるまでには色々な問題を乗り越えた経緯があります。


日本でも、一筋縄ではいかないでしょう。


音楽などはわかりやすいですが、ソフトウェアの場合など、

どのように課税するのか難しいところです。


特に、私が難しいと思うのはBtoBで

サービスが提供される場合です。


BtoCの場合なら、販売元である海外の会社が

直接課税されます。


ところが、BtoBの場合には海外の販売元の会社ではなく、

国内のサービス提供会社が課税されます。


これはリバースチャージ方式と呼ばれるもので、

納税義務が国内の事業者に転換されるのです。


BtoBにおいて、このようなネットで報告するメカニズムが

機能するのかどうか、やや疑問です。


経験のあるEUを参考にするにしても、これを成立させるのは

相当にパワーが必要となる作業だと思います。


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▼ 個人金融資産は大きく、シニア消費が活発化

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内閣府が17日発表した2012年度の国民経済計算によると、

土地などの資産から負債を差し引いた国全体の正味資産(国富)は

12年末に前年に比べて1.1兆円(0.04%)増の3000.3兆円となりました。


わずかながらプラスに転じ、5年ぶりに国富が増えたとのことです。


5年ぶりの微増とは言え、ピーク時には3500兆円ありましたから、

そこから比べると相当に低い水準になっています。


世界と比べて日本の国富の特徴は、個人の金融資産が大きい反面、

負債が極めて小さいことです。


これは米国などと比べると一目瞭然です。


大きなお金を借りて住宅を買っても、

すぐに返済しようとするわけです。


総じて言えば、個人で大きなプラスがある一方で、

公共の数値がマイナスで、相殺されています。


国や公共団体の借金を個人が負担する形になっていて、

結局、国や公共団体はそれに甘んじて、

未だに無駄遣いを続けているということです。


日経新聞は、9日「シニア消費 伸び鮮明」

と題する記事を掲載しました。


年280兆円規模の国内個人消費で、60歳以上の高齢者を

世帯主とする家計の存在感が一段と高まっています。


政府の家計調査によると、2013年11月の2人以上の世帯では

65~69歳の消費額が前年同月比8.3%増え、

全世帯の伸び率を上回っています。


一生懸命働いて貯めたお金は、元気なうちに使おうという

気持ちになる人が増えてきているということでしょう。


私もアクティブシニアタウンを手がけていて

肌で感じていることですが、旅行にしても趣味にしても、

明らかにシニア世代による「大胆な消費」が増えていると感じます。


話題になったJR九州の「ななつ星 in 九州」なども、

シニア消費が大きいと思います。


東京に「予約で1年待ち」という人気の寿司屋がありますが、

こういうお店もシニア消費に向いています。


仕事を引退し、時間的に余裕のあるシニアなら、

その待ち時間さえも楽しく過ごせるからです。


シニア消費は、従来のビジネスマンの消費とは

全くパターンが異なり、非常に面白いところだと思います。


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