米アップル アリゾナ州メサに部品工場を新設へ
世界タブレット市場 日本は置き去り
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▼ アップルの雇用実態。現地の工場が持つ本当の価値とは?
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米アップルは4日、米南西部のアリゾナ州メサに部品工場を
新設すると発表しました。
精密部品の保護に有効な透明材料のサファイアを使った部品を生産。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米フォード・モーター
などに続き、ITに関連した高付加価値製品でも
「製造業の米国回帰」の動きが目立つと報じられています。
米国回帰といったところで、「数千人」規模のことであり、
アップルが中国で抱えている雇用者数などと比べれば、
桁が違っていて比較になりません。
しかし、今回の「米国回帰」の規模が小さいとはいえ、アップルが
米国全体の雇用に貢献している度合いは、実は大きいことが、
FinancesOnline.comに掲載された「How and Where iPhone Is Made:
A Surprising Report on How Much of Apple's Top Product is
US-manufactured」を読むとわかります。
アップルのグローバルサプライチェーンを見ると、
iPhoneとiPadの市場がどれだけ巨大になっているかを実感できます。
アップルの関連工場数は、東アジアと米国に集中して
多数存在しています。
中国がトップで330、日本が2位で148、米国が3位で75と続き、
台湾:35、マレーシア:26、フィリピン:23、タイ:19、
となっています。
世界的に見るとアップルの監査対象のサプライチェーンに
含まれるのは393社もあり、監査対象の労働者数は150万人。
その中で、米国での雇用を見ると、アップルと関連事業で創出された
米国での雇用者数は59万8500人に達します。
全世界のアップル従業員8万人のうち、米国での従業員数も
5万人を超えています。
さらには、iOSのアプリ開発で発生した雇用数は29万人以上です。
雇用の問題でアップルを批判する人も多いですが、
こうした事実を見ると、アップルの米国への貢献度が高いと
わかります。
実は、米国内だけでiPhoneを作っても、1個あたりの追加コストは
4ドル程度にしかなりません。
この数字だけを見ると、米国での生産に回帰することも
十分現実的ですが、米国で生産すると課税率が35%
(現在は優遇措置などがあり2%程度)にまで跳ね上がります。
また、コスト面ではなく生産スピードの面で、米国の工場では
今現在のアジアの工場のようにはいかないでしょう。
iPhone5の発売時、初日に900万台が販売されましたが、
米国の工場だけなら不可能な数字です。
20万人の工場労働者を監督する8700人の技術者を確保するのに、
米国では9ヶ月ですが、中国なら15日です。
「デザインは米国、生産は中国」という言葉に
含まれている考えは、アップルの思いあがりだと私は感じます。
実際には、鴻海による部品調達能力が高いゆえに、今の「生産」が
可能になっているのであって、アップルはこのパートーナーシップに
支えられていることを忘れてはいけないでしょう。
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▼ iPad(タブレット市場)の将来は明るいが、日本メーカーに存在感はなし
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先日のJ-CASTの記事で、
「アップルをサムスン・台湾・中国メーカーが追う。
世界のタブレット端末競争、日本は置き去り」と
題するものがありました。
タブレット端末の販売競争が過熱している中、先駆者、
米アップルは2013年10月22日、「iPad(アイパッド)」の
最新モデルを発表。
年末商戦を前に、失ったシェアを奪回しようとしています。
それに対抗して韓国サムスン電子や中国、台湾メーカーは、
低価格を武器に勝負に出ていますが、一方で、ソニーなど
日本メーカーの存在感は国内外ともに薄くなっています。
タブレット端末の出荷台数のシェアを1年前のそれと比較すると、
アップルのシェアは40%超から30%を割り込んでいて、
かなりサムスンが押し込んできています。
残念ながら日本のメーカーはほとんど対抗できていません。
iPadの市場(タブレット市場)は、将来的にかなり期待できると
私は見ています。
学校でiPadが標準になっていく可能性があるからです。
教科書そのものをiPadに入れてしまい、宿題から授業の
カリキュラムから、さらには親とのコミュニケーションに至るまで、
すべてをiPadで管理することができます。
これからの時代は「個人でネット」ではなく、「グループで管理」
という方向に転換していくでしょう。
その中で、iPad(タブレット)が果たす役割は
非常に大きなものになり得ます。
日本のメーカーがここにほとんど姿を現していないのは、
残念でなりません。