大前研一「ニュースの視点」Blog

〔大前研一「ニュースの視点」〕KON487「消費増税・堺市長選・政党支持率~日本の税金全体の設計を考える」

2013年10月11日


 消費増税 2014年4月の消費税率8%引き上げを決定

 堺市長選 竹山修身氏が再選

 政党支持率 共産党が2位浮上


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 ▼ 5兆円の無駄遣いをするための、消費増税。

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 政府は1日、2014年4月の消費税率8%への引き上げを決定しました。


 安倍首相は、増税に備えて企業向け減税に加え、

 5兆円規模の経済対策を策定すると表明しました。


 3%分の引き上げで消費税収は年8.1兆円増える見通しですが、

 初年度の14年度は約5兆円増にとどまる見込みとのことです。


 全くおかしな話です。

 これでは5兆円の無駄遣いをするために増税するのと同じです。


 消費増税は税制改善のためにやるべきことなのに、

 全くそうなっていません。


 増加する税収も5兆円程度では、景気の腰折れを招くでしょう。


 これは完全にペテンであり、お金をばらまいて票を買う、

 という自民党が戻ってきたとしか言えません。


 来年は8%、その次は10%までの引き上げという話でしたが、

 それはやめておこうという流れになっているようです。


 しかし国と地方の基礎的財政収支の推移を見れば、

 厳しい日本の財政は一目瞭然です。


 国際比較をすると、消費税率8%程度は決して高くなく、

 EUは15%程度を推奨しているという人もいます。

 

 しかし、日本は法人税も相続税も高く、

 一概に消費税率だけで比較しても意味はありません。


 法人税、所得税、相続税など、全てを考慮して

 税金全体の設計を見直すことが重要であり、

 今日本はそのタイミングが来ているのだと思います。


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 ▼ 堺抜きで大阪都を実現せよ。

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 堺市長選は29日投開票され、無所属で現職の竹山修身氏が、

 「大阪維新の会」公認の元堺市議、西林克敏氏を破って

 再選しました。


 予想通り、竹山氏の再選となり、大阪維新の会は

 惨敗した形になりました。


 これにより、橋下大阪市長が推進しようとしている

 「大阪都構想」に堺を含めることができなくなり、

 計画の頓挫が懸念されています。


 橋下市長は「潔く負け」を認めると言っていますが、

 負けを認めることよりも重要なのは、戦略を変更することです。


 堺が抜けようとも、あくまで「大阪都」を作ろうとするなら、

 松井大阪府知事、橋下大阪市長がいれば、

 「大阪都」を実現することができます。


 東京都でも23区に入らず、「市」になっている地域が

 いくつかありますが、同じように「大阪都」も「堺市」を

 残したままにすれば良いのです。


 もちろん、堺を含めて大阪都を実現するのが理想ですが、

 それが無理であってもこの際「大阪都」は

 実現させてしまうべきだと思います。


 大阪都が東京都と同じように力を持ってくれば、

 「堺市」も言うことを聞かざるを得ない状況になるでしょう。


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 ▼ 10年後に現れる本物の政治家に期待。

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 日経新聞によると、世論調査の政党支持率で、

 共産党が前月に比べて2ポイント増の6%と自民党の55%に次いで

 2位に浮上したとのことです。


 これは2001年2月以来の高支持率で、

 民主党は同2ポイント減の5%で、1997年9月と並ぶ結党以来最低を

 記録しています。


 共産党が2位とは言え、政党支持率の推移を見れば、

 自民党以外は「地を這うミミズ」と同じレベルです。


 ただし、今はこの世の春を謳歌している自民党も、

 民主党がそうであったように、

 いつまた落ちてしまうかも知れません。


 日本人は、ほんの少しの過失で一気に支持しなくなる傾向があります。


 それにしても、自民党は相変わらず「ばらまき」をしているだけで、

 実質的には何も有効な政策を実行していません。


 先に見た税制問題を見てもわかるように、もう少し国の

 抜本的な部分を変える必要があります。


 そういう意味で、私が期待しているのは「10年後」です。


 今の日本のバイオリズムだと、

 10年に1度「メサイア(救世主)」的な存在が登場します。


 かつての細川氏、小泉氏などです。


 今回、橋下氏にその役割を期待していましたが、

 どうやら無理そうです。


 私は、安倍政権は経済問題に対処できず、

 10年持たない可能性が高いと見ています。


 もし仮に10年後まで存続したとしても、その時には

 安倍首相の復古主義的な思想が表面化し、

 それが理由で崩壊すると思います。


 そのとき、10年後に「本物」の人物が出てきてくれることを

 私は期待しています。


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