東京エレクトロン 2014年後半の経営統合を発表
LIXILグループ 独グローエ買収を発表
東レ 米ゾルテックを買収
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▼ 半導体製造装置メーカーが、規模の経済で半導体メーカーに対抗する
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半導体製造装置の国内首位で世界3位の東京エレクトロンと
世界首位の米アプライドマテリアルズが、先月24日、2014年後半に
経営統合すると発表しました。
スマートフォンの普及で進む半導体の高機能化に対応するため、
経営統合により開発費を分担。
今後、次世代技術である450ミリウエハー向け製造装置の実用化や
メモリーの大容量化に対応した技術開発を進める意向とのことです。
東京エレクトロンもアプライドマテリアルズも、
非常に高収益企業でしたが、ここ最近伸び悩んでいました。
業界2位にいるオランダのASMLに脅威を感じた、3位と1位が
手を組んだという形です。
この経営統合でシェアは25.6%となり、ASMLの2倍になります。
半導体製造装置メーカーは、巨大になりすぎた半導体メーカーから、
厳しい仕打ちを受けています。
半導体メーカーは、アップルやクアルコムから発注を受けると、
半導体製造装置メーカーに厳しい条件を突きつけてきました。
今回の経営統合は、規模経済によって半導体メーカーに
対抗できるようになるため、というのが最も大きな目的でしょう。
本社はオランダとのことですが、ここはほぼペーパーカンパニーに
近いでしょう。
実際のオペレーションは日本と米国でそれぞれ行うはずです。
ただし、半導体メーカーとの交渉は一本化し、
対抗する姿勢を示してくるものと思います。
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▼ LIXILは買収後のマネジメントを引き締めることが大切
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LIXILグループは26日、日本政策投資銀行と共同で
ドイツの住宅用機器大手グローエを買収すると正式発表しました。
負債の承継を含めた買収総額は約29億ユーロ(約3800億円)。
欧米などの独禁当局の許可を得て2014年前半に買収を完了する予定です。
先日、私はこのテーマをケース・スタディで扱った時、
今後LIXILが狙うべきM&Aの対象は、欧州市場の水回りメーカー、
北米の建材メーカーだと提案しました。
LIXILはすでにアメリカンスタンダードを買収済みですから、
まさに私の推薦はグローエでした。
グローエといえば、超高級メーカーの代名詞のような存在です。
超一流ホテル、超大金持ちの家は、水回りやキッチンが
グローエになっています。
グローエを使っているだけで、お金持ちだとわかるほどです。
アメリカンスタンダードとは対照的なブランドになりますから、
その意味でもLIXILにとっては非常に良い買収になると思います。
LIXILがアメリカンスタンダードとグローエを
どう使い分けていくのか、楽しみにしています。
LIXILの藤森社長は、海外・国内でそれぞれ1兆円という規模を
託されているそうですが、今回の買収で6000億円が
見えてきましたから、あと4000億円です。
GEの副社長としても敏腕を振るった藤森社長なら、
おそらく実現させると思います。
ただし、気をつけなくてはいけないのは、買収後の
マネジメントとインテグレーションです。
当然、GEのノウハウを持っているとは思いますが、
それでもプライドの高い会社を買収した後、
マネジメントしていくのは大変です。
買収戦略で成長しているジョンソン・アンド・ジョンソンや
ネスレ、そして藤森社長の古巣であるGEなどは、
必ず「買収後の3ヶ月でやるべきこと」が決まっています。
LIXILが同じようなことができれば、日本で例外的に
成功した会社として名を残すことができるでしょう。
LIXILと同様、こちらも期待したいのが東レです。
東レは27日、炭素繊維大手の米ゾルテックを買収することで
合意したと発表しました。
買収額は600億円~700億円で世界首位の東レは高機能品を
主力としており、廉価品でトップメーカーのゾルテックを
傘下に収めることで、炭素繊維の新たな用途を開拓する考えです。
東レは炭素繊維生産能力シェアで現在トップです。
ゾルテックは業界シェア3位ですが、東レとは異なり廉価品の
炭素繊維を扱っています。
東レはゾルテックを買収することで、既存のハイエンド品と
廉価品の両方を抑えシェアは30%に達します。
LIXILと東レの動きは日本企業にとっては、頼もしい限りです。
今後の両社に期待したいと思います。