人口減少問題 2040年の生産年齢人口 2010年比23%減
成長戦略 経営者アンケート 「成長戦略を評価」88%
税制改正 減価償却費の「即時償却」を要望
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▼ 人口減に対する施策なしに、日本経済の見通しは明るくならない
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国土交通省は11日に発表した「首都圏白書」で、2040年時点の
東京圏の生産年齢人口(15~64歳)が2010年に比べて23%(550万人)
減少し、高齢者人口は5割増になる見通しを明らかにしました。
これについて、空き家の増加や介護保険施設の不足が
深刻になると指摘。
鉄道など公共交通網の維持も課題になると指摘しています。
ここにアベノミクスの最大の問題が指摘されています。
アベノミクスは日本の人口減への対処策は何も示していません。
1000兆円の借金を抱えている国家財政を考えたとき、
誰がこの借金を返すことができるのか?
この点について言及しない限り、アベノミクス第2の矢である
「財政出動」は片付きませんし、第3の矢「成長戦略」を
実現することも当然のことながら不可能です。
6月10日号のBusinessWeek誌には、ピンクの漫画に彩られた
安倍総理の写真が掲載されていました。
タイトルは「MIRACLE WORKER(=奇跡を起こす男)」でした。
イタリアや米国などを大きく上回り、日本の借金は
世界各国の中でも飛び抜けており、GDP比200%を超えていると指摘。
また人口減によって、世界に占めるGDP比率も2010年の7%から
2030年には4%、2060年には3%になると予測を掲載。
結果、成長戦略どころか借金を返す財政戦略すらないと
批判しています。
この状況を打破するためには、「奇跡を起こさなければ無理」
だろうという論調でした。
アベノミクスの化けの皮が剥がれ、世界は日本経済に対して
大きな危機感を抱いています。
これを反転させるためには、かなり大胆な政策が必要でしょう。
例えば、毎年70万人の移民を受け入れて人口減の問題に対処する、
あるいは建築基準法を改正し規制で伸び悩んでいた建築業界を
一気に開放する、というくらい大胆で具体的な施策です。
しかし現状を見ていると、非常に難しいだろうと私は思います。
というのは、この成長戦略を考えた人たちには、
根本的な危機感が欠如しているからです。
日本の現状について、正しく認識し危機感を持つことすら
できていなければ、大胆な政策を打ち出すことは
絶対にないでしょう。
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▼ 減価償却期間を短くすることは、かなり経済効果がある
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経済産業省は2014年度の税制改正で、企業が新規設備を
導入した場合に法人税負担を圧縮できる仕組みを要望する方針を
固めました。
これは、非常に期待できる具体的な良い施策だと思います。
安倍総理は企業の設備投資を促す減税について
「秋には思い切った減税を決定したい」と述べていたそうですが、
私は以前からそれなら「減価償却期間を短くする以外に方法はない」
と指摘していました。
今回、有難いことに経済産業省がその施策を打ち出してくれました。
「単年度償却」は税収が減るため、財務省は反対すると思いますが、
この効果は絶大です。
例えば、現在8年の償却になっているものを2年に圧縮するだけで、
「税金に持っていかれるくらいなら、投資しておこう」と
考える企業は多いはずです。
企業経営者にしてみると、非常に有難い施策になると思います。
日本の企業経営者と言えば、先日、日本経済新聞による
経営者緊急アンケートが行われました。
それによると、安倍総理の成長戦略について主要企業で
一定の評価をする割合は計88%に達したとのことです。
BusinessWeek誌で指摘されているようなことを少しでも
日本の企業経営者が懸念していれば、
このような結果にはならないでしょう。
さらには、安倍総理が秋にも検討する追加策に
盛り込むべき政策では、「思い切った法人減税」を挙げる企業が
95.4%だったそうです。
要するに、自社が払う税金を減らしてもらいたいだけ
ということです。
おそらく、日本の成長戦略として何をするべきか?
自分の意見を明確に持っている企業経営者は
ごく一部だけだと思います。
日経新聞がこのようなアンケート結果に対して、
何の批判もなく掲載したことも私には不思議です。
日本の財政問題、成長戦略について、もっと現実を見つめて
危機感を持つことが大切ではないかと思います。