米中経済
上向くアメリカ・中国の景気
新興国経済
BRICSから東南アジアへ
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▼ 史上最高値と言っても、米国経済は浮かれる余裕はない
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日経新聞は1日、「上向く米中景気」と題する記事を発表しました。
これは米国株価指数のダウ工業株30種平均が5年5か月ぶりに
最高値を付けたことを受けて、ウォルト・ディズニー、IBM、
マクドナルドなど日本でも有名なグローバル企業が牽引したと紹介。
また個人消費も勢いをつけているとし、
課題は雇用回復ペースの遅さと指摘しています。
一方、中国経済については中国政府が昨年夏以降に行った
インフラ投資の規制緩和の効果で、景気が底入れしたものの、
実態は今なお官製経済と分析しています。
記事で指摘していることはごく当たり前のことばかりですが、
米国の経済が上向きの兆候を見せており、期待したい気持ちが
高まっているのでしょう。
ただ、今回株価が史上最高値をつけたと言って
過剰に期待しすぎるのもどうかと私は思います。
確かに史上最高値ではありますが、「株価の伸びている期間」
で見るとそれほど特別な状況ではありません。
3月18日号のBloomberg Businessweek誌には
「かつての景気回復局面での株価の伸び」と題する記事が
掲載されていました。
S&P500インデックスの上昇率をみると、今回の景気回復局面では、
2009年から2013年にかけての約1500日間で129%株価が
上昇しています。
ところが、実は歴史的には2000日を超える例もいくつかあり、
最長期間で言えば1987年から2000年にかけて
株価が582%上昇しています。
今の状況に浮かれすぎて良いものか
私は疑問に感じてしまいます。
そして最近の米国の悩みは、株式市場の上昇に対して
景気の高揚感がないということです。
すなわち、IBM、マクドナルドなど世界に展開して
勝負している企業は業績が上向き株価が上がっていますが、
それは国内の景気に反映されていません。
実際、失業率は未だに7%台を超えており雇用環境が
改善されたとは言えません。
株価と実体経済が乖離し始めているのです。
これが最近の米国経済の特徴であり、
実は日本も全く同じ状況になっています。
また中国企業の直近の決算状況を見ると、
消費財メーカーが厳しい状況に追い込まれています。
太陽電池のサンテックが破綻し、国美電器、李寧、ZTEは
赤字に転落しました。
景気の上昇局面では安売りで伸びたものの、
消費が低迷し値引きした結果、赤字に転落してしまいました。
これらの企業は高度成長期に固定投資を行い固定費が
伸びてしまったため、少しでも売上が減ってしまうと
厳しいのです。
かつての日本企業は石油ショックなどを経験し、
必死に固定費を下げて生産性を上げる努力をしました。
誕生してからずっと高度成長が続いてきたこれらの
中国企業には、そうした厳しい状況を乗り越えた
経験がありません。
内需の陰りが一気に消費財メーカーを直撃し、
それに耐えうる経験が圧倒的に足りていないのだと思います。
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▼ ASEANの好調は、数年前からわかっていたこと
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日経新聞は1日、「新興国牽引役はBRICSから東南アジアへ」
と題する記事を掲載しました。
これはBRICSが高成長を実現し、新興国ブームのきっかけを
作ったものの、リーマンショック後は南アフリカを除いて
奮わないと紹介。
一方、ASEAN各国は消費意欲が旺盛な中間所得層が
大幅に増えているとし、またASEAN域内で国境を超えた
生産分業体制が整っているのも魅力と分析しています。
数年前からASEANのことを指摘していた私に言わせれば、
「何を今さら」という気持ちです。
インドネシアの有望さなど、
何年も前からわかっていたことです。
BRICSと東南アジア主要国のGDP成長率の推移を見ても、
右肩下がりのBRICSに対して東南アジア諸国は
好調を維持しているのがわかります。
フィリピンは史上最高値、インドネシアも6%台の成長を
続けています。
洪水に見舞われたタイも頑張っていますし、
マレーシアも堅調です。
ASEAN諸国の特徴としては、中国と直接ぶつかることなく、
補完関係にある国も多いということだと思います。
対中貿易がプラスの国も多いのです。
ゆえに中国に目をつけられることもなく、
強かに生き残っています。
ASEAN諸国の好調さは、
ごく当たり前のことだと私は思っています。