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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON444「シャープ・パナソニック・NTTドコモ~トレンドと業界構造から見る企業のいま」

2012年12月14日

 シャープ 米クアルコムが最大100億円出資へ
 パナソニック 東京汐留ビルの売却を検討
 携帯電話契約件数 NTTドコモ 4万800件の純減


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 ▼ シャープ、パナソニックの厳しい状況
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 経営再建中のシャープが、米半導体大手のクアルコムから最大100億円の
 出資を受け入れることで合意したことが明らかになりました。


 スマートフォン向けの次世代パネルを共同開発し、
 シャープが技術を提供する見返りに、クアルコムがシャープの財務体質の
 改善を助けるとのことです。


 クアルコムによる出資を受けて、「株価も上昇し、今後の明るい見通し」と
 考えている人もいるようですが、4000億円近い損失を計上している会社に、
 わずか100億円の出資が決まっただけです。


 それほど大きな影響があるとは私には思えません。


 また現在交渉中の鴻海による出資額は600億円~700億円と言われていますから、
 この点から見ても100億円は小さい金額だと言えるでしょう。


 株価が大幅高と報じられていますが、2012年年初から比べると
 約3分の1になっています。ほんの一時的に上昇に転じただけで
 大きなトレンドとして見れば、やはり非常に厳しい現実に変わりありません。


 シャープと同様、厳しい状況に陥っているのがパナソニックです。


 


 資金難に苦しむパナソニックは「パナソニック東京汐留ビル」の
 資金化を検討しており、売却も含め、証券化や第三者との共有化などを
 幅広く模索しているとのことです。

 「パナソニック東京汐留ビル」と言えば、ショールームとしても使われている
 非常に立派なビルですが、致し方ないというところでしょう。
 
 パナソニックの現金は瞬く間に減少してきています。


 2006年には1兆6000億円あった現金が、今年は6000億円弱にまで
 減少しています。
 
 今年のように4000億円~5000億円規模の損失を計上すると、
 あと1回で債務超過に陥ってしまうという状況です。


 かつては2兆円を超える現金を保有していたことを考えると
 信じられないスピードです。
 
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 ▼ 純減したとは言え、NTTドコモの圧倒的な優位は揺るがず
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 携帯電話3社が7日に発表した11月の携帯電話契約件数によると、
 NTTドコモは新規契約から解約を差し引くと4万800件の純減になりました。


 一方、ソフトバンクは30万1900件の純増、KDDIは22万8800件の純増で、
 米アップルのスマートフォン「iPhone5」を扱う2社にNTTドコモから
 利用者が流出した形です。


 おそらく想像以上にiPhone5の人気は高く、NTTドコモとしては
 「今は我慢のとき」だと感じていると思います。


 ただ新規の契約件数では純減したNTTドコモですが、累計契約数の
 推移を見ると「安泰」の状況に変わりはありません。


 契約件数が約4万件純減したとは言え、NTTドコモにとって見れば、
 「累計契約数6000万分の4万」という程度です。


 一方、KDDIとソフトバンクは新規の契約件数は純増したものの、
 実は累計契約数ではNTTドコモとの差はほとんど縮まっていません。


 特にソフトバンクは相当力を入れて契約件数を伸ばしていますが、
 NTTドコモどころかKDDIにさえ追いついていません。


 携帯電話の収益は「累計契約数」に依存するところが大きいので、
 新規契約の料金を安くして使用料での収益を狙っているソフトバンク
 にとっては厳しい状況が続いています。


 NTTドコモにしてみれば、もうしばらくは「安泰」でしょうから、
 iPhone5による劣勢があっても、もう少し「我慢」すればいいという
 ところでしょう。


 iPhone5を取り扱うか、あるいはもっと待つか。
 もしくは、アンドロイドで躍動する台湾勢や韓国勢にあやかろうか。
 NTTドコモは色々な手を打つことができると思います。


 ただ日本の携帯電話メーカーは、スマートフォン分野で台湾勢や韓国勢に
 かなり遅れを取っているので、国内の圧倒的な立場に安心することなく、
 あまり時間を置かず対策を講じるべきだと私は思います。


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