今週の大前研一「ニュースの視点」blogは、KON417「今週の注目ニュース」
から下記のテーマを抜粋し、大前研一の解説をお届け致します。
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円・人民元取引 円と人民元の直接取引開始
インド経済 1-3月期GDP 前年同期比5.3%増
インドネシア財政 約4000億円の緊急融資枠を要請
ブラジル経済 政策金利を8.5%に引き下げ
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▼ BRICsの経済がスローダウン。数年前とは違うそれぞれの経済状況は?
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円と中国の通貨・人民元を直接交換する為替取引が1日、
東京、上海の両市場で始まりました。
東京市場では取引開始直後に、国内銀行間の取引で、1元=12円33銭の
初値が付きました。
1日の取引額としては100億円程度と小規模になっています。
決済額はまだまだ小さいものの、ドルを介さない直接取引の魅力ですから、
今後はコスト面での優位性もあり、大いに期待したいところです。
そのためには、人民元をもう少し国際化してもらう必要があると
私は思っています。
この取引が始まって、元安へと進みました。
この値動きを意外だと指摘する人もいましたが、私はそうは思いません。
今、中国政府は人件費を上げていますから、むしろ元高になる要素は
なくなりつつあると思います。
中国政府としては矛盾を抱えた状態になってしまっていると言えるでしょう。
インド政府は31日、1~3月期の国内総生産(GDP)が前年同期比で
実質5.3%増だったと発表しました。
市場予想の6%増を下回り、成長率の鈍化はこれで4四半期連続
とのことです。
昨年前半までの金融引き締めで内需が伸び悩んでいることが背景にあると
見られていますが、もう1つ忘れてはいけないのが欧州経済の不況に起因する
「欧州資金の引揚げ」です。
新興地域の対外債務に占める欧州銀行の割合を見ると、インドの対外債務も
約半分を欧州の銀行に占められていることが分かります。
インドルピーの下落、株式市場の低迷に繋がってしまうのも
致し方ないでしょう。
とは言え、成長率は未だに5%~6%というレベルを維持している
わけですから、破壊的なレベルではないでしょう。
また為替の動きとして、気になるのがロシアのルーブルです。
天然ガス価格、原油価格が下落しロシア経済が危ぶまれつつあります。
ルーブルは、ドルとユーロに対しても安くなっていて、
円に対してはさらに安い状態です。
先日、日産ルノーがロシアの自動車最大手アフトバズの株式を買い増し、
買収することで基本合意したという報道がありましたが、大チャンスです。
ロシアの企業などを買収するなら今は狙い目だと思います。
インドネシア政府は年内に総額50億ドル(約4000億円)の緊急融資枠を
国際金融機関などに要請する方針を明らかにしました。
欧州債務危機による市場資金の流出や燃料補助金の増大による
財政負担の拡大に対応。50億ドルのうち20億ドルについては世界銀行が
このほど融資を決定したとのことです。
インドネシア経済は、今後経常収支で赤字に転落する予想です。
かつてはエネルギー輸出国でしたが、国内経済の発展に伴い、エネルギー
輸入国へ変わってしまいました。
新しい輸出品目が出てくるまで、インドネシア経済は
苦しい台所事情が続くと思います。
ここをファイナンスするのは、大いに意味があると思います。
世界銀行が20億ドル融資したということですが、残額は全て
日本が融資しても良いくらいだと私は考えています。
日本の銀行が直接支援してもらいたいところです。
ブラジル中央銀行は30日開いた通貨政策委員会で、政策金利である
基準金利を0.5%引き下げて過去最低の年8.5%にすると発表しました。
高金利により通貨レアルが値上がりし国内製造業の低迷も
続いていることから利下げで景気を下支えする狙いです。
ブラジルはルーラ前大統領の後、あまり経済状況が良くありません。
ついに金利を史上最低レベルに下げたとのことですが、これでも経済は
浮上しないのではないかと危惧されています。
オリンピック、ワールドカップという大イベントのために相当の
資金が必要とされるブラジルですが、当然のことながら産油国として
深海油田を掘るための莫大な資金も必要です。
これから4~5年間の資金繰りは非常に難しいでしょう。
この問題解決にあたって、ルセフ大統領では少々心もとないかも知れません。