大前研一「ニュースの視点」Blog

〔大前研一「ニュースの視点」〕KON302 一律な「国民の祝日」を減らせ!~個々人で休みを管理しバケーションを満喫せよ

2010年3月12日

 連休分散案
日本5分割で春秋5連休
観光立国推進本部
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 ▼ 夏休みはバラけているのに、ゴールデンウィークは集中している
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 ゴールデンウイーク(GW)などに集中している連休を分散させる政府
 の原案が3日、観光立国推進本部の分科会で示されました。


 これは、日本を五つのブロックにわけ、春と秋の2回、週末を絡めて
 順番に5連休にすることが盛り込まれています。混雑を緩和し、観光
 需要を引き出す狙いとのことです。


 日本の連休について見ると、現在でも夏休みは6月から9月という長い
 期間内でバラバラに分散してきていると思います。


※「休暇分散の一例」 チャートを見る
 


 商業施設の夏休みの関係で、里帰りはお盆休みに合わせる人が依然として
 多いでしょうが、昔に比べて特定期間に夏休みが集中しなくなったのは
 間違いないでしょう。


 問題となってくるのは、ゴールデンウィークです。また、毎年ではない
 にせよシルバーウィークなる連休が生じる年もあり、日本では近年さら
 に休日が増える傾向にあります。


 この上さらに週末を絡めて順番に5連休にするというのですから、
 さすがに「国民の休日」としては「多過ぎる」と私は思います。


 たとえゴールデンウィークを地域ごとに分けても、5月・6月に休みが
 集中しますから根本的な解決にはならないでしょう。


 そもそも、こうした休日を政府・国が決定する必要性はなく、道州制で
 言えば各々の地域が自分たちで決めるべきだと私は思います。


 自民党は何かの折に国民の人気を取るために、「国民の休日」を増やして
 きましたが、増えすぎた国民の休日は一度整理するべきです。そして
 重要なことは、「国民の休日」として一斉に休むのではなく、個々人が
 自分たちで「自分自身の休日」を管理することです。


 国民の休日であろうがなかろうが、自分がゴールデンウィークにしたい
 と思えば、そのように計画すれば良いのです。


 そして、会社にしてもその会社の事情に合わせて独自にゴールデンウィーク
 を設計すれば良いと思います。


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 ▼ ドイツでは、スキー休みがスキー競技の裾野を広げた
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 自分自身で休日を管理するという面では、やはり日本人は世界に比べて
 遅れていると言えます。


 例えば、先日まで開催されていた冬季オリンピックでスキーに強さを
 見せたドイツでは、学校別に「スキー休み」というものがあります。
 12月から3月までの間に各学校がそれぞれ計画します。


 もちろん、学校間で休みのタイミングはバラバラです。私は海外でスキー
 をしていて、「どうして平日なのにこんなに子供が多いのだろう?」と
 疑問に思ったことがありましたが、その答えが「スキー休み」でした。


 親も事前に知らされているので、1年前からホテルを予約して家族ぐるみで
 1週間スキー場に行く、という計画を立てます。親が滑っている間、子供を
 「スキー教室・学校」に預けるというスタイルが多いようです。


 このような休みがあることで、ドイツのスキーの裾野は着実に広がって
 いったのだと私は見ています。そしてそれは今回の冬季オリンピックの
 結果にも表れたのではないでしょうか。


 日本でも独自のルールで「休み」を活用している経営者はいます。
 かつてヤマハの川上源一氏は、会社の休日を「土日」ではなく「日月」
 にしていました。周りの人が休んでいる土曜日に働き、逆に周りの人が
 働いている月曜日に休む。


 こうした「他人とは違う」経験をすることで、「他人とは違う」バケー
 ションやレジャーに対する発想を持って欲しいということでした。


 これは当時のヤマハという会社の仕事内容を考えれば、非常に理に
 かなっていたと思います。


 また別の経営者では、会社独自の「サマータイム」を取り入れている人
 もいます。夏になると朝7時始業、お昼の3時終業というルールです。
 夏は朝も早い時間から明るいですから、早くから働いて3時を過ぎたら
 後はエンジョイできるというわけです。


 このような事例を踏まえて、連休について国家が関与するべきかどうか
 という点をもう一度議論してもらいたいと思います。


 私に言わせれば、国民の休日は2日か3日くらいが丁度良いでしょう。
 現実問題として、今のままでは「国民の休日」は増え続けるだけで、
 いずれ理論的には「毎日が国民の休日」というおかしな状況になって
 しまいます。


 そして、今回は主に祝祭日が議論の対象になっていますが、もう少し広く
 「休日」全体をどのように管理するべきか、という点を踏まえて議論を
 してもらいたいと感じます。


 他国と比べて「国民の休日」が多すぎる日本ですが、逆に「バケーション」
 は短すぎます。イタリアなどでは1ヶ月くらいのバケーションをとるの
 は普通のことです。


 こうした議論も並行して進めるべきで、そうすることで個人や個々の
 会社が「自分自身で休日を管理する」というスタイルが広がっていく
 ことにつながると私は思います。


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