大前研一「ニュースの視点」Blog

KON706「北朝鮮情勢/サイバー攻撃/米韓関係/イスラエル情勢 ~エルサレム問題で米国に反対の立場を貫いたのは正解」

2017年12月29日 イスラエル情勢 サイバー攻撃 北朝鮮情勢 米韓関係

本文の内容
  • 北朝鮮情勢 追加制裁決議案を全会一致で採択
  • サイバー攻撃 北朝鮮の関与を断定
  • 米韓関係 米韓合同軍事演習延期をアメリカに提案
  • イスラエル情勢 エルサレム首都認定撤回求める決議案を採択

北朝鮮はソフト面での攻撃力も備えてきている


国連安全保障理事会は22日、北朝鮮に対する追加制裁決議を全会一致で採択しました。北朝鮮への石油精製品の輸出を年間50万バレルに制限することで、輸出の約9割を禁止するほか、北朝鮮からの出稼ぎ労働者を24ヶ月以内に送還することなどを求めたものになっています。

北朝鮮の脅威が増す情勢を鑑みて、この採択は正解だと思います。また、米政府は19日、今年5月に世界で被害をもたらしたランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「WannaCry(ワナクライ)」を使ったサイバー攻撃について、北朝鮮が関与したと断定しています。

北朝鮮の脅威という意味では、北朝鮮は核ミサイルによる物理的な攻撃能力だけでなく、ソフト面での攻撃力も備えてきつつあることを忘れてはいけないでしょう。

ソニーピクチャーズは、北朝鮮を揶揄するような映画を作ったために、未公開映画や個人情報を漏洩させられ、韓国では原発の設計図が盗まれそうになっています。バングラディシュの中央銀行にいたっては、約8100万ドルを強奪されています。

実際に北朝鮮によるソフト面での攻撃力=サイバー攻撃は、成果につながるレベルにまで達していると見て良いと思います。


文在寅大統領がいる限り、日韓関係は良好にならない


韓国の文在寅大統領は19日、平昌冬季五輪期間中の米韓合同軍事演習の延期を米国に提案し、米国側も検討していることを明らかにしました。これにより、文在寅大統領は北朝鮮選手の五輪への参加を促し、対話への気運を高めたい考えです。一方、米国のティラーソン国務長官は「予定されている定例の軍事演習を変更する計画は承知していない」と語りました。

韓国の国内でも指摘されていますが、文在寅大統領は全く信用に値しません。文在寅大統領は、かつて金正日に挨拶に行ったこともあり、「自分が赴いて挨拶をすれば何とかなる」という思いがあります。

米国のティラーソン国務長官は、文在寅大統領が求めている「軍事演習の延期」については全く知らないと発言し、また中国は吉林省に難民キャンプを準備し始めたと言われています。これは半島の有事を想定した対応でしょう。

こうした米国や中国の動きに反して、文在寅大統領は相変わらず反米・親北の態度を示しています。日本も米国や中国と同様、北朝鮮への圧力を強化しようという流れに乗っていますから、文在寅大統領の韓国と良い関係は築けないでしょう。しばらくの間、日韓関係については期待しないほうが良いと私は見ています。


エルサレム問題で米国に反対の立場を貫いたのは正解


国連総会の緊急特別会合が21日開催され、エルサレムをイスラエルの首都に認定した米国の決定撤回を求める決議案を賛成多数で採決しました。賛成は日本を含む128カ国で、トランプ大統領は決議案に賛成した国には経済援助を打ち切ると表明しており、カナダ、豪州など一部の国は棄権しました。

このニュースを聞いて、「米国がいかに下品な国に成り下がったのか。 リーダーシップがなくなったのか」と感じました。トルコのチャウショール外相は、「お金で我々の威厳を買えると思うのなら、それは間違いだ」と演説しましたが、まさにその通りです。

私に言わせれば、トルコにここまで言われるほど、今の米国はお粗末な国になってしまったと感じます。米国からの援助受けている国に対し、反対したら援助をしないというのは、脅しも同然であり、大国・米国の大統領がこのような発言をするのは前代未聞です。

米国のエルサレム首都認定に対して、米国側についたのは、以下の国々です。米国、イスラエル、グアテマラ、ホンジュラ、マーシャル諸島、ミクロネシア、ナウル、パラオ、トーゴ。

一方、カナダ、メキシコ、豪州、コロンビア、ハイチ、ポーランド、フィリピンなどは「棄権」を表明しました。カナダ、豪州、メキシコが棄権の立場を取れるのは、自国内に資源があるので、中近東の国に遠慮しないで良い、ということが背景にあるのでしょう。

しかし、日本は資源国ではないので、中近東の国々と関係が悪化して、油を輸入できなくなったら致命的です。ゆえに、安易に「棄権」の立場を取ることはできません。正直、トランプ大統領から安倍首相に電話があって「棄権しろ」と要求されたら、安倍首相は簡単に首肯してしまうのではないかと懸念していましたが、ここは河野太郎外相がふんばってくれたのだと思います。

結果としてみると、カナダ、豪州、メキシコなど産油国で米国との距離を考慮したところは棄権の立場をとり、日本含め欧州のほとんどの国は、(米国のエルサレム首都認定に反対する)国連決議に「賛成」を示しました。この日本の決断は正しかったと思います。

米国にベッタリの立場で、中近東の国を敵に回して、これまでの中近東との関係性を台無しにしてしまうのではないかと、心配していました。このような形に落ち着いて、私の率直な感想はホッとしているというところです。

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※この記事は12月24日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は、エルサレム問題の話題を中心にお届けいたしました。

エルサレム問題で米国に反対の立場を貫いた日本。
これに対して大前は、日本の決断は正しかったと指摘しています。

世界にはエルサレムのような問題がたくさん存在しています。

混迷する中東で問われているのは「国家」とは何か
という根源的な問題です。

民族対立、宗教対立が紛争の根源的な火種となっており、
国民国家のフレームワークの論理では
簡単に解決できない問題となっています。

これらの問題から「国家とは何か」ということが問われ、
国民国家の定義や枠組みが揺さぶられるという意味で、
大きな変化が予感されます。


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