大前研一「ニュースの視点」Blog

KON704「税制改正/法人税率 ~年収850万円=高所得者というのが、世界標準からズレている」

2017年12月15日 法人税率 税制改正

本文の内容
  • 税制改正 所得税改革案で合意
  • 法人税率 賃上げ、革新投資で法人税20%

年収850万円=高所得者というのが、世界標準からズレている


政府与党は6日、自民党税制調査会の所得税改革案で合意しました。基礎控除を一律10万円引き上げる一方、給与所得や公的年金の控除は減額するもので、これによりフリーランスで働く人は減税、年収850万円超の会社員は増税になるということです。

そもそも年収850万円は、世界的に先進国で見ると、決して高所得とは言えません。それを日本では高所得者と位置づけてしまうのは根本的な認識が間違っていると思います。その上、年収850万円以上の人は、私立高校の授業料の無償化の対象にならないなど、増税で負担が重くなった上にこれでは大変な人も出てくるはずです。

政府がこのような政策に出るのであれば、サラリーマンとしては致し方なく対応せざるを得ないでしょう。例えば、サラリーマンを辞めて会社とフリーランスとして契約するという方法があります。会社からのお金は、事業体としての収入になりますから、その後自分の給与を年収250万円に設定することも可能です。その上で、自宅の一部費用を経費として計上することもできます。

使用人としての会社員という考え方をやめて、プロ野球と同じように「契約」するという考え方や方策を研究していかないと、サラリーマンとしては政府の政策にいい様にやられてしまいます。

サラリーマンの給与所得について言えば、連合が来春闘の基本構想として「4%」を主張していますが、春闘なども新しい考え方に移行していくべきでしょう。連合側が政府側に立って経営陣に対立するなど、春闘そのものがすでに形骸化していて、意味をなしていません。私としてはコメントする価値すらないと感じています。


法人税という人参で人を操るのは愚策


政府は積極的な賃上げなどに加え、「IoT」など革新的な技術に投資した企業の法人税負担を実質20%程度に引き下げる方針を固めました。米仏などの減税の動きをにらみ、当初想定していた25%程度からさらに引き下げるもので、日本の立地競争力を高めつつ、企業がため込む資金の活用を促す考えです。

「よくもこんなことが言えるな」というのが率直な感想です。そもそも、こんな人参を目の前にぶら下げるような方法で人間を操作しようとすること自体がおかしいのです。もっと客観的な判断をもとに、手を打つべきです。

日本企業の競争力を上げるためには、賃上げではなく、企業の利益そのものを上げることが重要です。つまり、法人税率を20%に下げても、全体の納税額は増えるように持っていくべきなのです。これはかつて米レーガン元大統領が行った政策です。

革新的な投資かどうかを政府に判断できるのか?というのも大いに疑問です。また、革新的投資というと、「設備投資」や「IoT」を想定しているものと思いますが、日本企業に最も足りない「革新的投資」は「人間」だと私は思います。世界に冠たる仕事ができる優秀で尖った人材。こういう人を年俸1億円でも2億円でもいいから採用することにお金を使うべきだと思います。どうせこのままだと、誰もが実態をごまかして、「革新的投資」「IoT」に見えるように整えるだけで終わります。
そして、政府にはそれを見抜く目もありません。

私に言わせれば、政府や役所がこのようなふざけたことを言ったら、企業としては声を大にして反発するべきだと思います。「経営もわかっていないくせに余計なこと言うな」と、なぜその一言が出てこないのか私には不思議でなりません。

首相も副総理も家業は政治家です。経営の経験もないのですからわからなくて当たり前です。人間を人参で操るようなとんでもない発想に基づいた政策だと思います。企業どころか経団連すらこれに対して反発しないのは、情けないし非常にみっともないことだと私は感じています。


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※この記事は12月10日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は、税制改正や法人税率の話題を中心にお届けいたしました。

所得税改革案で合意した政府与党。
これに対して大前は、サラリーマンとしては
政府の政策にいい様にやられてしまうと指摘しています。

使用人としての会社員という考え方をやめて、
プロ野球と同じように「契約」するという考え方や
方策を研究するべきと大前が指摘しているように、
一人一人が「稼ぐ力」を身につけることが大切です。

会社に所属することが不利になるのであれば、
新しい働き方を模索する必要があります。

さらに、従来の仕事がなくなるならば、それに代わって
これから必要とされる仕事を見いだし、自分で仕事を創っていく。

そういう発想こそが、求められています。


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