大前研一「ニュースの視点」Blog

KON695「コンカー/産業革新機構/楽天/リョービ/ソフトバンクグループ/トヨタ自動車/米携帯大手 ~楽天のフリーテル買収は成功、ソフトバンクのスプリントは苦戦」

2017年10月17日 コンカー ソフトバンクグループ トヨタ自動車 リョービ 楽天 産業革新機構 米携帯大手

本文の内容
  • コンカー Suica利用データで経費精算
  • 産業革新機構 「再生」に傾く革新機構
  • 楽天 大赤字のフリーテルを買収する計り知れないメリット
  • リョービ 電動工具事業を京セラに譲渡
  • ソフトバンクグループ 日本電産・永守重信氏が社外取締役退任
  • トヨタ自動車 アメリカでHV車基幹部品生産へ
  • 米携帯大手 スプリント株急落

コンカーのシステムは領域を広げるべき


出張・経費管理システムを手がけるコンカーは先月25日、交通系電子マネー「Suica(スイカ)」の利用データを使った経費精算サービスの実証実験を始めると発表しました。事前に登録したスイカで鉄道やタクシーに乗ると、日付や運賃など利用実績を自動でシステムに転送するもので、2019年度末までの実験結果を踏まえサービス化を検討するとのこと。

コンカーはドイツのSAPが買収した企業で、出張経費などのシステムを提供しています。日本法人は、セールスフォースやマルケトの日本法人を共同出資で設立したサンブリッジが米国の本社と共同出資で立ち上げた会社です。

残念ながら今回発表されたシステムなど、コンカーの業務領域を考えると、ホテルやレンタカーも扱っているので、対象領域は少し狭いのではないかと私は感じています。


焼け太りする産業革新機構


日経新聞は先月25日、『「再生」に傾く革新機構 50倍に膨れあがった原点』と題する記事を掲載しました。
東芝が半導体メモリー事業の買収で主要な役回りを演じた官民ファンド・産業革新機構。設立当初の主目的はベンチャー投資で、原資もわずか400億円だったものの、現在は投資枠2.1兆円の巨大ファンドになっています。この機構が2009年に15年間の時限組織として設立されたことを踏まえ、今こそ過去の設立経緯や成果の十分な検証が必要だと思います。

本来は創業関係の投資が目的だったので、原資も400億円程度でしたが、はじまってみると革新機構ではなく、「救済機構」になってしまい、一気に資金が膨らみました。経産省にしてみれば、自分たちが顎で使えるようなモノですから、非常に便利なものになっていると思います。結果として、焼け太りのように2.1兆円にまでふくらんでいるのは経産省らしいやり方だと思います。


楽天のフリーテル買収は成功、ソフトバンクのスプリントは苦戦


ダイヤモンド・オンラインは先月29日、「楽天が大赤字のフリーテルを買収する計り知れないメリット」と題する記事を掲載しました。今回の買収は楽天にとって、買収価格が安い・比較的簡単に黒字化が見込める・本業にとってもプラスなどのメリットがあると紹介しています。楽天の携帯電話事業と合わせると大きくなる目処は立ちますし、ユーザー一人あたり4800円で獲得できたとなると、割安でしょう。

一方、ソフトバンクが傘下におさめている米スプリント社について、先月25日の米株式市場で株価が急落。過去4カ月で最大の下げを演じています。孫正義会長は強気の発言をしていましたが、結局、ドイツテレコム傘下のTモバイルと合併する可能性が高く、現在デューデリジェンスが行われているようです。こうなってくると、株価が下落するのは致し方ない状況でしょう。

またソフトバンクグループは先月29日、日本電産の永守重信会長兼社長が先月30日付で社外取締役を退任すると発表しました。「本業との兼務が困難となった」としています。かつて私も社外取締役を務めていて、1期2年で退任しました。私は退任するとき、孫正義会長から「自分に対して色々と忌憚なく言ってくれる人はいないので」と慰留されましたが、おそらく永守氏も同じような立場だったのだろう、と思います。


転換期を迎えた電動工具市場/トヨタがHV強化する重要性


ダイカスト金型鋳造大手のリョービは先月29日、電動工具(パワーツール)を手掛ける国内外事業で新会社を設立し、新会社の80%の株式を京セラに譲渡すると発表しました。これにより京セラは電動ドライバーや切断機などの品揃えを強化するとともに、リョービは主力のダイカスト部分に経営資源を集中する考えです。リョービの主力であるダイカストの1つが電動工具です。それを売却してしまうというのは、KKRが日立工機を買収した事例も含め、電動工具という市場が1つの転換期を迎えているのだと感じます。

トヨタ自動車は米国での生産体制を強化し、米国地域の五つの工場に合計で約3.7億ドル(約414億円)を投資すると発表しました。EVだけでなく、HVへ投資するのは非常に良いことだと思います。都市で走る時には電気で動くように再設計すれば、
環境対応車として通用するはずです。「環境対応車」として扱えるというのは、トヨタの戦略上も極めて重要な要素だと思います。


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※この記事は10月1日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は、注目企業の話題を中心にお届けいたしました。

先月25日の米株式市場で株価が急落した
ソフトバンクが傘下におさめている米スプリント社。
現在デューデリジェンスが行われているようで、
株価が下落するのは致し方ない状況だと大前は指摘しています。

デューデリジェンスのように会社を包括的に分析するのは、
一見、現場と関係ないと思われますが、
分析した結果で見えてきた穴は、現場に必ず影響が出ます。

例えば、M&Aで会社が思わず高値で買ってしまったつけは、
無形固定資産としてBSに表れ、その分だけ
現場は売上をあげなければならないなどの影響が出てきます。

自分には関係のないことだと思うのではなく、
まずは、自分の会社を実際に分析してみることが大切です。


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