大前研一「ニュースの視点」Blog

KON688「米スティーブ・バノン氏/米トランプ政権/ロシアゲート問題 ~トランプ政権崩壊の転換点を迎えつつある」

2017年8月25日 ロシアゲート問題 米スティーブ・バノン氏 米トランプ政権

本文の内容
  • 米スティーブ・バノン氏 バノン主席戦略官・上級顧問が退任
  • 米トランプ政権 新首席補佐官と規律なきトランプ政権
  • ロシアゲート問題 FBIがマナフォート氏の自宅を捜索

トランプ政権崩壊の転換点を迎えつつある


米ホワイトハウスは18日、トランプ米大統領の最側近であるバノン首席戦略官・上級顧問が同日付で退任すると発表した。バノン氏は米国第一主義を主張し、昨年の米大統領選当選の立役者でしたが、政権内の穏健派と相容れず、またトランプ氏の家族との意見対立もあり解任を求める声が強まっていました。

おそらく多くの米国人が喜んでいると思います。バノン氏の役割は選挙期間中、極めて重要でした。白人至上主義だけでなく、ほとんどの政策を牛耳っていたと言っても過言ではないでしょう。しかし他のアドバイザーや共和党との折り合いが悪い上、ここにきてトランプ氏との間にも決定的な軋轢が生じました。

バノン氏がテレビで北朝鮮問題を軽視した発言をしたためです。本当の問題は中国であり、将来中国が脅威にならないように今抑え込まないでどうするのか、という持論を展開しました。北朝鮮問題に取り組んでいるトランプ大統領からすると、これは自分を馬鹿にしたのと同じだと捉えたのでしょう。トランプ大統領の娘婿のジャレッドクシュナー氏とも馬が合わないですし、クビにせざるを得ない状況だったのは間違いありません。

朝日新聞デジタルに掲載されていた記事の中に、「ホワイトハウスを去る高官らとバノン氏を巡る構図」が示されていましたが、プリーバス氏、バノン氏、スパイサー氏、フリン氏はすでに去り、ペンス氏とトランプ大統領本人しか残されていません。これはすごい状況だと思います。現在の状況であれば、ペンス氏とティラーソン氏が頑張ってトランプ大統領の解任動議を出すとクーデターが可能だと思います。実は、このシナリオの方が弾劾よりも実現しやすいかもしれません。上院、下院の3分の2の賛成で可能ですから、もう少しという段階です。

ニューズウィーク誌の表紙には大きくトランプ大統領が掲載され、「LAZY BOY」とタイトルがつけられていました。重要法案を通した数はゼロで、6ヶ月経過してゴルフ場で過ごした日数が40日だと指摘されています。オバマ大統領のゴルフ場通いを批判していたのに、一体どういうつもりなのでしょうか?トランプ大統領は米国をどうしようとしているのか?まったく見えてきません。

現在のトランプ政権の混乱ぶりと、今後の見通しについて、エコノミストは8日「新首席補佐官と規律なきトランプ米政権」と題する記事を掲載しています。先月31日に米ホワイトハウス広報部長を解任されたスカラムチ氏の在任期間は10日で、それ以降も高官の辞任は続き混乱を極めていると指摘。また先月28日にはトランプ米大統領がプリーバス首席補佐官を更迭し、後任に海兵隊大将も務めた退役軍人のケリー国土安全保障長官を据えていますが、ケリー氏に政権立て直しを期待する人々が最も警戒するのは、人の助言を聞かないトランプ氏そのものであり、トランプ氏の政治的、戦略的、道徳的な素質に疑問符が付くと述べています。

さすがに共和党もこれでは中間選挙は戦えないと判断し、今後は態度を変えてくることが予想されます。今はその転換点にあると思います。私は最初からトランプ大統領は半年ももたないと提言してきましたが、もうすぐ、その半年を迎えようとしています。


ロシアのエージェントに引っかかった愚かなトランプ陣営


米紙ワシントン・ポストは9日、米連邦捜査局(FBI)が7月にマナフォート元選対会長の自宅を家宅捜索していたと報じました。マナフォート氏は旧ソ連諸国関係者から多額の金銭を受け取り、見返りに便宜を図っていた疑惑があるとともに、昨年6月にはロシア人弁護士らと面会し、ロシアの米国大統領選への介入に共謀した疑惑も浮上しています。

今月末に発売されるベルダ誌で私が寄稿したのも、まさにこの問題でした。プーチン大統領は世界一のお金持ちで、その資産は20兆円に達すると言われています。しかし、この資産の身動きが取れなくなる事態が発生しました。オバマ前大統領が2012年、ロシアの人権侵害を理由にロシアの政府幹部の資産凍結を決定したマニッキー法を通したためです。この資産凍結を解くために、プーチン大統領は約2万人のエージェントを主として米国にばらまき、各州の議員に個別に接触し法改正を働きかけたと言われています。

トランプジュニアと娘婿のジャレッドクシュナー氏が昨年6月に会ったと言われているベセルニツカヤ弁護士とロビイストのアクメチン氏。両名はマニッキー法撤回を求める中心人物です。今回モスクワに呼び戻されたキスリャク駐米ロシア大使なども、プーチン氏のために尽力していた人物の1人だと言われています。マニッキー法を共和党に変えてもらうために派遣された2万人のエージェント。愚かにもこの2万人にトランプ陣営が引っかかったということです。おそらく、今後のロシアコネクションの調査でそのつながりが明らかになってくるはずです。




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※この記事は8月20日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています




今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?



今週は、トランプ政権の話題を中心にお届けいたしました。

政治的、戦略的、道徳的な素質に疑問符が付くトランプ大統領。

米国をどうしようとしているのかがまったく見えず、
トランプ政権崩壊の転換点にあると大前は指摘しています。

いくら権力やカリスマ性があったとしても、
リーダーの行動が機能するためには、
信頼されていることが前提となります。

リーダーの行動原則として、ビジョンを掲げ、共有し、
また、模範となり率先して行動していく必要があります。


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