大前研一「ニュースの視点」Blog

KON661「米英関係・米国イラン関係・イタリア情勢 ~トランプ政権による英米関係の行方」

2017年2月17日 イタリア情勢 米国イラン関係 米英関係

本文の内容
  • 米英関係 トランプ大統領はブレグジットにとって大惨事
  • 米国イラン関係 イランへの追加制裁を発表
  • イタリア情勢 イタリア国債売り再燃
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トランプ政権による英米関係の行方、イエメン紛争にも影響を与える米イラン関係の危険性


日経新聞は1日、「トランプ大統領はブレグジットにとって大惨事」と題する記事を掲載しました。

英国は過去40年間にわたり、EU加盟と米国との「特別な関係」という外交政策の2本の大きな柱を持っていました。
しかしEUから離脱する決断の結果、英国は以前よりずっと大きく米国に依存することになるとし、ブレグジットがなければトランプ大統領に対して用心深いアプローチをとることができたものの、現状は英国の外交政策と相反する考えの大統領に向き合わざるをえないとしています。

たしかに英国と米国の関係性を考えると、大惨事に発展する可能性もあると思います。
しかし一方で、英国の輸出相手国を見ると、今は米国中心ではないこともわかります。
圧倒的にEU諸国への輸出が多く、米国はせいぜいスイスの2倍程度のもので、英国にとって致命的なほど米国の存在感があるわけではないでしょう。

* * *

トランプ米政権は3日、イランの弾道ミサイル発射実験やイラン革命防衛隊を支援した25の団体・個人に追加制裁を科すと発表しました。
米政府高官は同日、今回の制裁は「第一歩にすぎない」と述べ、イランに対する「大幅な戦略見直しに着手した」と表明。
これに対しイラン政府も報復措置を取ると表明しており、両国間の緊張が高まっています。

イランからすれば、オバマ前大統領は核合意を認めているし、弾道ミサイルの発射実験は主要国との核合意や国連安保理の決議には違反していない、という立場でしょう。
しかし、米国が制裁に出た以上、これからの数週間で一気に緊急事態に発展する可能性もあると思います。

米国とイランの緊張関係は、イエメン紛争にも影響を与えるかもしれません。
サウジアラビアとイランが争っていますが、サウジアラビアの後ろ盾となっている米国が表に出てきて
イランと直接対決する可能性もありえます。イエメン紛争は非常に危険な要素を含んでいます。
今後の展開については、米国とイランとの関係性を見ながら判断することになるでしょう。


イタリア経済が破綻すれば、スペイン、ポルトガルと続く危険性


イタリアの10年物国債利回りは先月30日、およそ1年半ぶりの高水準まで上昇。
これは前週、イタリア憲法裁判所が示した判断を機に選挙制度の改正と早期の総選挙実施が意識され始めたためです。
30日イタリア最大手行のウニクレディトは、16年末の自己資本比率が欧州中央銀行(ECB)の要求を満たさない可能性があると発表しており、次の政治リスクの震源地はイタリアになる可能性が高いと見られています。

米国でトランプ旋風が吹き荒れている中、イタリアでは金融機関の調子がおかしくなっていました。
昨年末にはイタリア銀行3位のモンテ・パスキが巨額の不良債権で経営難に陥ったと報じられましたが、今度は最大手行のウニクレディトまで危ないとのことです。

今後、リスク回避のためイタリア国債を売り抜けるという人が増えるでしょう。
ドイツ経済がもう少し安定していれば事情は異なるかもしれませんが、ドイツ銀行が欧州最大のリスクになる可能性が出てきていて、欧州経済を支える柱が失われつつあります。

不良債権比率で見ると、イタリアは欧州で第5位です。キプロスやギリシャのほうが同比率は高くなっていますが、経済規模はたかが知れています。
ギリシャやキプロスに比べると、イタリアに万一のことがあったら、経済的な損失、影響は「一桁」変わってしまいます。
また、スペインやポルトガルも似たような状況にあるので、イタリアに続いてしまう可能性もあり、その点も懸念されます。

イタリア国債の危険性はドバイ危機あたりから騒がれていましたが、ここに来て再び利回りが急激に上がってきて、危険度が増してきました。
イタリアは大きな国ですから、不良債権比率が15%というのはさすがに大きすぎるということでしょう。

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※この記事は2月5日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は、トランプ政権による他国への影響についてお届けしました。

大前が過去40年の英国と米国の関係性を指摘したように、政治や国際情勢の変化を考察する際には、それぞれの国が歩んできた歴史に目を向ける必要があります。

歴史を遡っていく際に大切なことは、長期的な時間の流れで見ていくこと。
短いスパンで振り返ってみても、歴史全体の流れを捉えることはできません。

ビジネスにおいても、なるべく長い時間の流れで見ることにより、市場や業界全体の流れを理解することができます。


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