- 本文の内容
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- 米グッドイヤー 「Eagle-360」が2016年ベスト発明品に選出
- 独フォルクスワーゲン 新ブランド「MOIA」(モイア)発表
- パナソニック ZKWグループを買収
- 米アマゾン・ドット・コム コンビニエンスストアに参入
フォルクスワーゲン再生に向けてリスクをとる姿勢
米グッドイヤーは、TIME誌が選ぶ「2016 年ベスト発明品」に「Eagle-360」が選ばれたと発表しました。
これは球形のコンセプトタイヤで、自動運転車に究極の操作性と接続性を提供するとともに、自然界の生物の機能を模倣した技術(バイオミミクリー)を取り入れて、安全性も高めているというものです。
従来のタイヤは一方向のみの動きでしたが、この新商品は球形のタイヤなので、360度すべての方向にも動けるという特徴があります。
私としては今のタイヤでも、車の運転でそれほど不便を感じたことはありません。
どのようなニーズを満たすのか?を考えると、一般的な生活場面ではないのかも知れません。
例えば、軍事的な場面で考えれば、砂漠や荒れ地などを移動するので必要性は高くなるかも知れません。
一般消費者にとって、ややニーズがわかりづらいものですが、グッドイヤーからこのような商品が発明されて世に出てきたこと自体、私は良いことだと思っています。
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独フォルクスワーゲンは5日、人の移動全般にかかわるモビリティーサービス「MOIA(モイア)」を発表しました。この新ブランドでは、配車アプリや、車を個人間でシェアするサービスを展開。
2017年に欧州でスタートし北米やアジアにも拡大する計画です。
フォルクスワーゲン再生の1つとして、自動運転やシェアエコノミーは重要だと思います。
この車はシェアエコノミー専用の車で、ウーバーの仕様などにも対応しています。
フォルクスワーゲンはいくつものブランドを持っていますが、今回のブランドほど目的が明確なものはありません。
フォルクスワーゲンが生まれ変わるために、リスクを取って進むという意思が感じられます。
昨年就任したマティアス・ミュラー社長の良い影響かも知れません。
排ガス試験の不正問題などで大きく傾いたフォルクスワーゲンですが、守り一辺倒にならず、このような姿勢を見せることは非常に良いことだと思います。
M&Aに保守的だったパナソニックがようやく動き出した
パナソニックは欧州の自動車用ライト大手、ZKWグループを買収する見通しがあきらかになりました。
自動運転や電気自動車の普及が見込まれる中、韓国サムスン電子も車載端末に強い米自動車部品メーカーの買収を決定しています。
世界のIT・電気大手が自動車部品企業を取り込む動きが加速しています。
従来の内燃機関の自動車よりも、自動運転、電気自動車を想定し、重要になってくる技術を取り込む狙いでしょう。
昨年パナソニックは、電子ミラーの技術を持つスペインのフィコサへ出資をしています。
もちろんパナソニックにも技術はあるでしょうが、先んじている企業があるならば、その技術を買ってしまう戦略です。
長い間パナソニックがM&Aに保守的だったのは、大きな失敗を繰り返し、「羹に懲りて膾を吹く」状態になってしまったからです。
1974年モトローラのテレビ・ラジオ事業の買収で大失敗し、1990年のユニバーサルスタジオを持つMCAグループの買収でも成果を出せずに終わりました。
ソニーがコロンビア・ピクチャーズを買収後、未だに保有し続けている一方で、パナソニックはユニバーサルスタジオを1995年に売却して撤退しています。
ようやく今になって、メディカル部門や自動車部品部門などで、M&Aの動きを見せ始めました。
私が期待するのは、これらの経験を通して「M&A」の技術を会社として取り込んでいくことです。
パナソニックは要素として非常に良いものをたくさん持っています。
M&Aで技術を取り込むことを学べれば、飛躍できるチャンスも大きく広がるはずです。
ここ最近の動きを見ていると、大きな失敗体験によってM&Aに及び腰になっていたパナソニックに確実に変化が見て取れます。今後も期待したいと思います。
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米アマゾン・ドット・コムは5日、来年初頭にコンビニエンスストアに進出すると発表しました。
センサーやカメラを駆使し、来店客が何を購入したかを人工知能(AI)が認識。
来店客は商品を持ってそのまま待ち時間なしに退店可能。
会計はアマゾンの口座から自動で引き落とされる仕組みとのことです。
レジの待ち時間が長い、という問題を解決するためとのことです。
米国とは違い日本ではそれほど需要があるのか少し疑問を感じます。
確かに一部の店舗ではお昼時など、混雑してレジに行列することもあるでしょうが、多くの店舗ではそこまで致命的な問題にはなっていないように私は感じます。
アマゾンのことですから、狙いは他にもあるのでしょう。
これによって、何か別の技術的な問題を解決しようとしているとも思います。
それが明らかになれば、なるほどと納得できるかも知れません。
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※この記事は12月11日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は、パナソニックの買収施策に関する話題をお届けしました。
市場で勝ち残るためには、自社の技術力だけではなく、外部技術の活用も視野にいれた戦略を描き、実行する必要があります。
その際にポイントとなるのが、将来、価値を生み出す技術の評価です。
ポテンシャルのある技術の見極めは簡単ではありませんが、組織としてそのスキルを磨き続け、ノウハウを貯めていくことが重要です。
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