- 本文の内容
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- 三菱地所 純利益274億円
- 出光興産 出光問題が踏み越えたレッドライン
- サウジアラビア情勢 サルマン副皇太子が来日へ
丸の内の開発に欠けているのは、賑やかさ・親しみやすさの演出
三菱地所が先月4日に発表した2016年4~6月期連結決算は、純利益が前年同期比18%増の274億円でした。
賃貸住宅などの保有物件の売却益が寄与し、また新規稼働したオフィスビルも貢献したとのことです。
決算の数字は良かったとのことですが、株価は冴えない状況が続いています。
三菱地所は丸の内に固執し過ぎていて、かつそれほど大胆なことをしないのが特徴です。
今後、多くのスペースを必要とする予定もないので、期待値という意味で上限が見えてしまうのでしょう。
三菱地所は丸の内仲通りの再開発を行い、商業施設をオープンさせ、飲食店や小売店を入れるなど、サラリーマンが会社帰りに立ち寄れる空間への転換を図りました。
しかし、ここには例えば新橋烏森通りのような賑やかさ、ざわざわ感がありません。
どこかよそよそしい印象を受けます。
また、目的のお店を目指して行く人はいるかも知れませんが、それこそ新橋のようにそぞろ歩きしている人が圧倒的に少ないのも特徴です。
盆踊りを開催するなど盛り上げようという気持ちは感じますが、憩いの場と称して「ソファ」を置いてしまうあたりは、どこか「ズレ」ていると思います。
屋台とまでは言いませんが、もう少しざわざわする感じを演出するようにしたほうが良いでしょう。
八重洲地下街のほうがよほど賑やかさを感じます。
外国人で皇居に向かう人の多くは、徒歩であの辺りを通っていると思いますが、土日と夜は死んだも同然の雰囲気です。彼らに訴求する力が弱すぎます。
せっかくの一等地なのに、非常にもったいないと思います。
三菱地所には、賑やかさや親しみやすさを演出する能力を身につけてもらいたいところです。
出光創業家は顔を洗って出なおすべき。サウジアラビアの重要性を理解せよ。
日経新聞は、先月22日「出光問題が踏み越えたレッドライン」と題する記事を掲載しました。
出光創業家が昭和シェルとの合併に反対している問題は、当事者が考える以上に根の深い部分に踏み込んでしまったと指摘しています。
6月末、創業家が公開した文書に対してサウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコが怒っているとの観測が石油関係者の間に広がったとし、日本への石油輸出の扉を閉じさせる状況を放置するのは石油会社にとって自殺行為だとしています。
この指摘はまさにその通りで、創業家が「ウチはイラン系の会社」だと述べたのは大きな間違いです。
創業当初イランから輸入したのは事実でしょうが、今現在の輸入元はサウジアラビアのアラムコが約40%で、イラン系はわずか1%に過ぎません。
この状況で、自分たちはイラン系列だからと異議を唱えても、何も説得力はないでしょう。
日本全体の原油輸入先で見ると、1位:サウジアラビアで30.7%、2位:UAE:22.7%、3位:カタール:13.0%と続き、イランは6位で4.6%です。
日本にとっても、サウジアラビアがどれだけ重要な存在であるか、理解できるでしょう。
そして、サウジアラビアとイランは犬猿の仲です。
サウジアラビアはスンニ派の盟主であり、一方のイランはシーア派の盟主です。IS問題を含め、両者は平行線をたどっています。
そういう状況を理解せず、わずか1%しか輸入していないのに「イラン派」と表明してしまうのは軽率過ぎます。反対するならば、他の理由をたてるべきでした。
現在はアラムコに足を向けて寝られないほど依存している状況です。
創業家の発言が英語になって現地に伝わってしまうのは大きなマイナスだと思います。
そして、このようなタイミングでサウジアラビアのサルマン副皇太子が来日します。
政府は先月24日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン副皇太子が8月31日~9月3日に来日すると発表しました。
滞在中に天皇陛下と会見するほか、安倍晋三首相と会談する予定とのことです。
サルマン副皇太子は、脱石油を含めて、現在のサウジアラビア全体の舵取りを担っている人物です。
国王からの信頼も篤く、絶大な権限を持つ人物です。油の問題やサウジアラビアの将来において最も重要な人物の1人でしょう。
来日に際しては、日本も安倍総理に加えて天皇陛下が会見するというのも頷けます。
通常、天皇陛下が副皇太子に会うことは少ないはずですが、日本側も重要性を理解しているということです。
こうした状況、事の重要性を理解して、出光の創業家は顔を洗って出直したほうが良いでしょう。
私は何度か指摘したことがありますが、浜田氏は少々出すぎたことをする傾向があります。
サルマン副皇太子は日本のアニメが好きだということで、根本的には日本に対して悪感情は抱いていないはずです。
今回の件で憤りを覚えていないことを願いたいと思います。
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※この記事は8月28日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は、三菱地所の話題をお届けしました。
三菱地所に対し、賑やかさや親しみやすさを演出する能力が欠けていると指摘した大前。
その提案は、自らの体験に基づいたものです。
体験により自ら直接得ることのできる1次情報は非常に貴重です。
街を歩きながら、世の中のニーズをいかに発見するのか。
新しい兆しを把握するためには、世の中を観察する力が求められます
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