大前研一「ニュースの視点」Blog

KON636「セブン&アイHD、日立建機、ディー・エヌ・エー、クラウドワークス ~日本にも、ようやくクラウドワーキングが根付いてきた」

2016年8月26日 クラウドワークス セブン&アイHD ディー・エヌ・エー 日立建機

本文の内容
  • セブン&アイHD 「セブン-イレブン」世界店舗数 7月末で6万店突破
  • 日立建機 インド売上高578億円見通し
  • ディー・エヌ・エー 株価は首位独走中
  • クラウドワークス クラウドワーカー数が100万人突破

オリジナル事業を日本化し、世界に展開できた珍しい事例


セブン&アイ・ホールディングスは17日、コンビニエンスストア「セブン‐イレブン」の世界の店舗数が7月末で6万店を突破したと発表しました。

同社は1927年に米国テキサス州で創業し、1971年には24時間営業を開始。アジア・欧州など世界17の国と地域に進出し、小売業として世界最大の店舗数となります。

セブン-イレブンは米国のサウスランドという会社が始めた事業です。それをイトーヨーカ堂にいた鈴木敏文氏が提携し、日本で普及し始めました。
その後、サウスランドの経営状態が悪化し、米国以外のセブン-イレブンの権利を約650億円で買収しましたが、さらに後、サウスランドそのものを買収するに至りました。

最終的にサウスランドを買収したのですから、同じ意味を持つM&Aに二重に支払ってしまった、と言っても良いと思います。

結果的には、当時のイトーヨーカ堂は資金が豊富でしたし、十分な成果も得られたので問題にはなりませんでした。そして、今ではこの事業が稼ぎ頭となっています。

全世界で6万店という巨大なリテール組織であり、日本では珍しくオリジナルの事業を買収し、日本化しました。

そしてフランチャイズ方式ではあるものの、世界に展開した事例です。欧州はスイス系やドイツ系の同業がメインですが、アジアを主として成功しました。

日本で約1万9,000店、次いでタイが約9,000店、米国・韓国が約8,000店、台湾が約5,000店になります。

日本でも強いという印象がありますが、世界レベルで見ると6万店というのはなかなか素晴らしい数字だと思います。


インドの実需は堅調なものの、すぐに情勢が変わる可能性を警戒


日立建機の2017年3月期はインドの売上高が前期比43%増の578億円まで伸び、連結売上高に占める比率も8%と、初めて同社の中国事業の売上高を上回る見通しが明らかになりました。

中国経済が鈍化する一方、インドはモディ政権の発足後、インフラ整備が活発で、油圧ショベルの需要が伸びていることが背景にあるとのことです。

世界的には建機市場は、キャタピラーにしてもコマツにしても決して堅調とは言えません。そんななかで、油圧シャベルで見ると他の国を差し置いて、インドだけが断トツで伸びています。

北米、西欧も2014年までは伸びていましたが、すでにマイナスに転じていて、インドだけが50%増となっています。

日立建機の数字で見ても、日本もオセアニアも北米も、そして中国も下がっている中、インドだけが伸びています。

日立建機だけの数字とは言え、インドが中国を上回ったというのはある種異常な事態だと思います。

かつての中国ほどではないにしろ、インフラ整備に入ったということでしょう。日本も新幹線の受注などもあり、しばらくはインド需要に期待できるかも知れません。

ただし、モディ首相が再選されるかわからないところがありますし、インドという国は調子が良くなっても、すぐにブレーキがかかる「癖」があります。

その点は警戒しておく必要があるでしょうが、現時点でインドの実需が堅調であることは間違いありません。


ディー・エヌ・エーには任天堂とのコラボへの期待


日経新聞は16日「ディー・エヌ・エー、株価は首位独走中」と題する記事を掲載しました。

これは、東京株式市場でディー・エヌ・エーの上昇基調が続いており、昨年末から15日終値までの上昇率は5割超と、日経平均株価の採用銘柄の中で断トツを誇ると紹介。

傘下のプロ野球・横浜DeNAベイスターズの主催試合の観客動員数が増えていることや、任天堂と共同開発するスマートフォン向けゲームへの期待が高まっていることが要因としています。

時価総額そのものよりも、今年になってから「5割」増加したという点に注目するべきでしょう。傘下のプロ野球球団・ベイスターズの収支が赤字から黒字に転換する見込みが高そうです。

現在、観客動員数は1位の広島、2位の巨人に続く3位です。もしかしたら2位を狙えるかも知れませんが、3位で留まれれば十分だと私は思います。ただし、全体の影響から見るとプロ野球球団のそれは小さいものです。

現在、ディー・エヌ・エーは任天堂と共同でポケモンGOのようなゲームの開発に着手しています。聞くところによると、4つ進めているということで、これらのゲームにポケモンGOと同じような魅力があれば、という期待感があるのでしょう。

もちろんゲームは発売してみないとわからない部分も多いですが、現在の同社株価は大いに期待含みで伸びているという状況です。

期待通りの成果を見せて欲しいところです。


日本にも、ようやくクラウドワーキングが根付いてきた


クラウドソーシング大手のクラウドワークスは14日、会員数(クラウドワーカー数)が100万人を突破したと発表しました。

2012年3月のサービス開始から50万人突破までに2年1カ月かかったのに対し、100万人突破はその1年4カ月後と、会員数増加ペースが早まっているとのことです。

クラウドワークスの吉田社長はアタッカーズ・ビジネススクールの出身で、会員数が60万人くらいのときにお会いしました。それから、あっという間に100万人です。

登録クラウドワーカーの最高年収は約2,400万円、最高年齢が85歳とのことです。それだけ優秀な人も登録しているし、仕事が来る需要もある状況になっています。

国籍、住所が日本以外の人も数十%いるそうです。海外出向組みの奥様など、海外にいて日本語ができる人にとっても良い機会になっているのだと思います。

以前、私はクラウドソーシングの世界チャンピオンとも言える米国のoDesk(現Upwork)を紹介したことがありますが、日本でもようやく同じように「クラウドワーキング」という働き方が根付いてきたのだと感じています。


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※この記事は8月21日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は、クラウドワークスの話題をお届けしました。

同社のサービス会員数が100万人を突破し、「クラウドワーキング」という働き方が根付いてきたと紹介。

世の中が急速に激しく変化している今の時代、会社だけでなく、個々人にも「稼ぐ力」が要求されます。

ビジネス環境が変わり、従来の仕事がなくなったとしても、時間と場所にとらわれず、これから必要とされる仕事を見出し、自分で仕事を創っていく姿勢が求められます。


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