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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON187 相次ぐ食品偽装問題の解決策は「偏見を取り除くこと」

2007年11月9日

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 国民生活関連施策
 福田首相、総点検を指示
 食品・耐震偽装問題
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●生産第一ではなく
     「生産者のご都合第一」主義だったことが問題だ


 福田首相は、国民の生活に直結する制度の総点検を
 全閣僚に指示しました。


 食品の不正表示や耐震偽装問題の頻発を受けた措置で、
 岸田国民生活担当大臣が中心となり、
 緊急を要する課題については、年内に具体策をまとめます。


 福田首相は、これまでの政府の仕事は生産第一という視点
 から作られ、国民生活の安全・安心が制作の重点になって
 いないと指摘したとのことです。


 福田首相の見解は的を射ていると思いますが、
 私に言わせれば、より正確に言うと
 「生産者第一」だったのではなく、
 「生産者のご都合第一」だったのだと思います。


 農水省にしてもかつての食糧庁にしても、
 業界の都合のいいように、
 ルール違反を黙認してきているのは間違いないでしょう。


 そもそも、業界を規制するルールそれ自体が不明確だ
 と指摘することもできます。


 例えば、原産地証明などといいますが、
 「原産地」の定義が曖昧です。


 今のルールでは、極端な例として言えば、
 どこか外国で泳いでいたウナギを捕まえて、
 ある一定期間日本の産地で泳がせておけば、
 そのウナギは「○○○産のウナギ」としてまかり通って
 しまう状況です。


 不二屋の問題以来、白い恋人を始め、
 多くの問題が取り沙汰されている「賞味期限切れ」
 という問題も、全く同じことが指摘できます。


 そもそも、「賞味期限」について明確な定義がありません。
 各々の企業が独自の判断で「賞味期限」を設定している
 わけですから、逆に言えば、賞味期限が切れていないから
 といって安全だと言い切ることもできないでしょう。


 ※「発覚した主な食品不正事件(2007年)」チャートを見る


●問題解決のためには、消費者の持つ「偏見」を取り除くこと


 では、相次ぐ食品偽装問題を解決するにはどうすればいいか?
 と考えてみると、最も重要な点は、消費者が持っている
 食品に対する偏見をなくすことだと思います。


 一般に消費者は、口で言うほど味の違いなどわかっていません。
 これは、ブラインドテストなどをしてみると明白です。


 例えば、有名な例としては「コーラ」のブラインドテスト
 があります。コカコーラとペプシを1本ずつ飲んだときには、
 味の違いが明確に分かる人が多いのですが、
 さらに3本目を飲ませてみると、途端に混乱し、
 味の違いがわからなくなるのです。


 私たち消費者の味覚とは、その程度のものでしょう。
 それなのに、「純国産は最高品質だ」
 「中国産は美味しくない、品質に問題がある」など、
 偏見だけで判断してしまいます。


 このような偏見をなくさなければ、新聞社はネタになる記事
 ですから、変わらず「産地偽装や賞味期限切れ」などの
 食品偽装問題を取り上げ続けるでしょう。


 定義も曖昧な「賞味期限」などに惑わされることなく、
 本当に人間の健康に問題があるのかという点を検証すべきです。
 過剰に反応しすぎても意味はありません。


 むしろ、世界から安く、高品質なものを輸入できるというなら、
 「日本の農場は世界である」として、
 「世界各地から安くて良いものを仕入れます」
 という態度でもいいじゃないかと私は思います。


 また農協も農民を助けるという建前に固執せず、
 「日本の胃袋を守る」という大義名分を打ち立て、
 たとえ農民と競う立場になったとしても、
 商社のように世界各地から食料品を調達することに
 舵をきるべきでしょう。


 私たち消費者は、低価格かつ高品質なものを購入できるのです。
 どこに問題があるのでしょうか。


 問題の本質を見誤ると、このような結果を招きます。
 情報を鵜のみにせず、その情報から自分で判断し考えること
 の重要性は、いくら強調してもし過ぎることはありません。


                          以上


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