■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
民営郵政が始動 資産338兆円
日本郵政と4事業会社に分社
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
●約束を果たすことなく、始動する郵政民営化
1日、郵政民営化がスタートしました。
独立行政法人の日本郵政公社は持ち株会社である
日本郵政の下に4つの事業会社を分社し、
社員数24万人、店舗数2万4千店、金融2社の資産が338兆円という
巨大グループに生まれ変わりました。
これは、1987年の国鉄以来の大規模な国営事業の
民営化の例となります。
小泉内閣の目玉の1つであった郵政民営化がいよいよ
スタートしましたが、事前に民営化作業委員会で
議論されていたことが実現されるのか、
私は甚だ疑問に感じます。
1つには、民営化後も、裏では国債を購入し、
結果として国の借金を国民に肩代わりさせる財務省の狙いには、
以前と何ら変わりがないのではないかと思います。
また、先日発表されたように、
金融庁は、ゆうちょ銀行に対し、新BIS規制に基づく
監督を特例的に緩める方針を固めています。
貸出先債権を厳格に分類すると、
結果として国の関連事業に関与している会社が破綻懸念先と
評価される可能性が大いにあるからでしょう。
しかし、それを避けるがために、特例扱いにするというのも、
理にかなわない話だと思います。
「民業を圧迫しない」
「4つの郵政事業はそれぞれ独立させる」という点も含めて、
私はあらゆる約束(前提)が守られないと見ています。
●民営郵政の真の問題点は、土地資産を国民に返却していないこと
日本郵政は、他の民間企業と比べて金融実務に関する
実力が不足していると懸念している人も多いようです。
例えば、ゆうちょ銀行やかんぽ生命はデリバティブなどの
高度な運用手法を取り扱えるよう監督官庁に申請をしましたが、
これまでほとんど国債しか運用したことがない両社が
適切に運用できるのか懸念する声があります。
もちろん、このような一面はあると思いますが、
私は心配していません。
ゆうちょ銀行社長の西川氏が、デリバティブなどの
高度な業務を担当できる実力のある人材を揃えると
推測しているからです。
むしろ、私は、土地という優良な資産を
きちんと国民に返さずに、かつての国鉄のときと同じような
有利な条件だけを手にして民営化が進んでしまうことを
懸念しています。
東京中央郵便局をはじめとして、
他の民間企業では考えられないような駅前一等地に優良な
不動産を数多く抱えていますが、
本来、これらの土地は国民のものです。
本当の意味で民営化を実現するためには、
まずはこれらの優良資産を売却することが必要なのです。
国鉄民営化の際にも、結局、土地という優良資産が
国民に返却されることはありませんでした。
むしろ結果としては、国民は国鉄の借金だけを担がされました。
今回の郵政民営化も同じ構図です。
同じトリックにはまらないために、土地・ロケーションという
資産は国民に返すべきだと私は強く主張したいと思います。
以上