■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
米金利 FRB政策金利を0.5%引き下げ
住宅ローン救済策を可決
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
●米サブプライムローン問題は、
金利の上げ下げだけで解決できるものではない
18日、米連邦準備制度理事会(FRB:The Federal Reserve Board)
は、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の
誘導目標を0.5%引き下げました。
サブプライムローン問題を発端とする金融不安が収まらず、
米国経済全体が悪化するリスクが高まったことへの
対応とのことです。
ここ数年の米金利の推移を見てみると、04年から
かなり小さく段階的に金利を上昇させてきたことが分かります。
これまでの上昇率からすると、今回の0.5%の引き下げは
予想を超えて大きく下げたと感じる人も多いでしょう。
※「日米欧の政策金利の推移」チャートを見る
また、FRB議長のバーナンキ氏は、今後の更なる金利引下げの
可能性も示唆しています。
実際には、さらに金利を下げることはないと
私は見ていますが、このバーナンキ氏の態度は市場への
牽制としては十分な効果があると思います。
ただ、FRBが何をやったところでサブプライムローン問題
そのものが収まっていないという事実は変わりませんし、
簡単に収まるものでもありません。
ビジネスウィーク誌(2007年9月17日号)によると、
2007年8月までに表面化した金利の上昇により返済に懸念のある
住宅ローンの総額は2,630億米ドル(約30兆円)に達し、
2008年12月までに7,000億米ドル(約80兆円)相当の
住宅ローンに返済の懸念が生じるであろうと
一部では報じられています。
金利の引き下げだけでは到底対応できるものではなく、
最終的に経済への破壊的な影響が大きくなるなら、
徳政令のような形で国が関与しなければ問題は解決できない
でしょう。
その際、注意しなければならないのは、日本の90年代に
行われたような破綻を伴う処理方法を採用しては
ダメだということです。
抵当権を行使し、競売物件が大量に市場に出回れば、
住宅価格は急落し、健全なプライム部分にも影響が出てきて、
収拾がつかない状況に追い込まれる可能性が高いからです。
この部分をどのように対処するかということが、
思案のポイントだと思います。
●潜在的に米国以上の危険性をはらんでいる英国の不動産市場
米国ばかりが注目を浴びているサブプライムローン問題ですが、
実は英国の方が深刻な事態になる可能性があるという点を
見落としてはいけません。
実際、米国と英国において、可処分所得に対する家計の負債を
比べると、米国の127%に対して、英国は166%となっています。
また、英国の住宅価格の上昇率は、米国よりも高い数値を
示しています。
この点から見ても、住宅価格が上昇する前提で借金をしていて、
住宅価格の下落により大きな被害を被る構図は、
英国にとってより深刻な問題になる可能性が高いと
言えるでしょう。
今、英国ではイングランド銀行が、ノーザン・ロックへの
救済対応について世界から批判を浴びていますが、
私はこの問題そのもよりも、これが英国の不動産市場へ
悪い形で影響を及ぼすことがないかを心配しています。
現在、英国は17年連続で経済成長を続けていて、
非常に景気が良い状態ですが、この経済成長は住宅価格の
上昇が大きな要因になっていると思います。
もし、英国の不動産市場に眠る潜在的なリスクを
呼び起こしてしまったら、信用不安に陥り、
継続してきた英国の経済成長が落ちこむ可能性があるという
危機感を感じることが大切ではないでしょうか。
以上