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外貨準備高の通貨構成比率
ユーロが25.8%に上昇(06年末)
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●国際通貨としての影響力が低下する日本円。
25日、欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏以外の国・地域の
外貨準備高に占めるユーロの割合が2006年末に25.8%となり、
04年末に比べ約1ポイント上昇したと発表しました。
ドルとユーロの外貨準備高に占める割合を見てみると、
99年導入時点では、ユーロの占有率は20%を割り込んで
いますが、一方、ドルは70%を超える割合になっていました。
その状態から、今ユーロが25.8%まで回復し、
ドルは70%を割り込んだという状況になっています。
※「外貨準備の通貨構成比率の推移」チャート
おそらく、今後の予測としては、このままユーロが
約30%まで伸び、ドルは60%を切るくらいまで推移すると
私は見ています。
このような中、かつて8%ほどを占めたこともあった日本円は、
数十年ぶりにポンドを下回り、3%程度にまで
落ち込んでいます。
国際通貨として未熟になったという烙印を押されて
しまったようなものでしょう。情けない限りです。
ただ、このように日本円が国際通貨として影響力が
低下したことを受けて、日本には800兆円を超える債務があり、
破綻の危険性が強まるのでは?という人がいますが、
これは全く別の議論です。
日本の抱える834兆円の債務は、外国に対するものではなく、
主に国債という形による、国民(特に将来の国民)に
対するものです。
日本は貿易も黒字ですし、外貨準備高としても100兆円ほど
抱えていますから、諸外国から見ても、日本と取引することの
リスクが高いということにはなりません。
逆に、かつてのブラジルは、外貨準備高として米国のドルを
借りてきて、色々なモノを買っていました。
その借金を返済できなくなったため、
破綻に追い込まれたわけです。
このブラジルと同じという点では、実は、日本ではなく、
米国にこそ破綻のリスクがあると私は感じています。
●米国がブラジルになる日・・・債務国米国のリスク。
私は、かつて「米国がブラジルになる日」ということを
提言したことがあります。
それは、米国の外貨準備高が、かつてのブラジルと同じように、
世界の国々からの借金で成り立っているため、
このままではブラジルと同じ道を進む危険性があると
警鐘を鳴らしたものでした。
そして、米国の現状は借金まみれで、もうこれ以上は
外貨を借りられないといった状況になっています。
この状態で、もし日本が貿易の決済に際して、
「ドルではなく、日本円で支払ってくれ」と米国に言った
ならば、米国は非常に困った事態に陥ります。
なぜなら、これ以上、外貨を借りられないので、
決済するための日本円を準備できないからです。
このような事態は、絵空事ではありません。
実際に、ロシアは米国に対して、石油を売るときに
「ルーブル」での支払いを要求しています。
世界がドルを決済通貨・準備通貨として認めなくなったとき、
米国経済は甚大なる被害を受けるでしょう。
現状で言えば、ドルが決済通貨・準備通貨の約60%を
占めるわけですから、その影響は米国経済だけでなく
全世界に及びます。
そのような世界が血で染まるような恐ろしい事態に
ならないために、今は米国を鼓舞しつつ、
何とか軟着陸を目指しているという状況なのです。
以上
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2007年7月6日(金)分のバックナンバー掲載が遅れましたことを、
お詫び申し上げます。