大前研一「ニュースの視点」Blog

KON559「シャープ・ジャパンディスプレイ・ファミリーマート・ピジョン~プレーヤーの強みを考える」

2015年3月13日 シャープ ジャパンディスプレイ ピジョン ファミリーマート

本文の内容
  • シャープ 連結最終赤字2000億円
  • ジャパンディスプレイ スマホ用高精細液晶パネル
  • ファミリーマート ユニーグループHD
  • ピジョン 連結純利益89億円見通し

経営実態を失ったシャープ/再建に成功したジャパンディスプレイ


経営再建中のシャープの2015年3月期連結決算で、純損益の赤字額が2千億円近くに膨らむ見通しになっていると報道されました。広島にある電子部品の4工場を閉鎖するなどリストラの追加を検討しているとのことです。

また、主要取引銀行に協力を要請し、借入金を株式に振り替えてもらい、「債務の株式化」を実施するなどで、計1750億円の資本増強を目指す考えです。

シャープの再建に関しては、ファンドからの出資、工場の閉鎖、銀行借入の株式化(デッド・エクイティ・スワップ)など、色々な情報が飛び交っています。さらには、三菱自動車の救済策と同様、銀行の傀儡ベンチャー企業を立ち上げて支援するという方法もあります。

シャープの業績推移を見ると、V字回復などと言われていましたが、報道されているように2000億円の赤字を出すとすれば致命的です。

おそらく、すでに「経営の実態」はなく、自ら経営ができる状態ではなくなっているのでしょう。鴻海会長の郭台銘(テリー・ゴウ)が買収交渉を再開したとも言われていますが、正直、私は厳しいと感じています。

部分的に良いところはあるでしょうが、全体として経営が崩壊しているからです。相当厳しいリストラを敢行し、ルネサスエレクトロニクスのようになれば良いですが、現状を見ていると、しばらくの間、上昇してくるのは難しいと私は見ています。

シャープとは対照的に、上手に回復を果たしたのがジャパンディスプレイです。ジャパンディスプレイは6日、石川県白山市にスマートフォン(スマホ)用の高精細液晶パネルの新工場を建設すると発表しました。

投資額は1700億円で、大半を主要な納入先である米アップルが負担するとみられ、2016年夏に稼働して全社的な生産能力を2割強増やす考えです。

整理するものをきちんと整理し終えたら、アップルから供給安定を求められ、同時に資金まで提供してもらえる状況になりました。シャープもこのようなスタイルをとることができれば良かったのですが、中途半端な立場を取ってしまったのが致命的だったのでしょう。

 

セブン-イレブンが強い理由/ピジョンの将来性は有望


国内コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、同4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(GHD)は経営統合に向けて交渉に入るとのことです。

実現すればコンビニ事業の売上高は首位のセブン-イレブン・ジャパンに次ぐ2位に浮上します。と言っても、1店舗当たりで見ると、売上高ではセブン-イレブンが他社を圧倒しています。

セブン-イレブンの売上高は約3兆8000億円です。ファミリーマートとサークルKサンクスを足しても約2兆8000億円で、約1兆円の開きがあります。また、セブン-イレブンが四国に進出した際、他のコンビニからセブン-イレブンに切り替えた店舗の中には、売上が2倍近くになったところもあったそうです。

重要なのは店舗数ではなく、個々の商品です。その商品力が勝負の鍵を握っています。セブン-イレブンは商品開発力が高く、おそらくメーカーにも厳しく指導しているはずです。店舗の数だけ合わせても、セブン-イレブンに追い付くのは難しいと思います。

* * * * *

ピジョンは2日、2016年1月期の連結純利益が前期比5%増の89億円になる見通しだと発表しました。中国向けの育児用品が貢献し、6期連続で最高益を更新するとのことです。

2年以上前ですが、私はピジョンをケーススタディで取り上げ、中国への進出に可能性があることを示しました。ここに来て、ようやく売上に利益がついてくるようになって、私の予想通りピジョンは非常に良い状況になっています。

中国では、国内製の哺乳瓶や粉ミルクよりも日本製のほうが、人気があるほどです。今後も中国市場は伸びていくでしょう。

ピジョンはすでに国内の利益よりも海外のほうが大きくなっています。中国では一人っ子政策が緩和され、子供の数が増える傾向にあります。私が経営している大連の会社でも、1割近くの従業員が産休を活用しています。このような状況を見ても、ピジョンは非常に将来有望だと私は見ています。

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※この記事は3月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週はコンビニエンスストアの業界動向の解説をお届けしました。ユニーとファミリーマートが統合した場合、業界第2位に浮上しますが、第1位のセブンイレブンとはそれでも約1兆円の開きがあります。

では、セブンイレブンが強い理由は何でしょうか?大前は、同社は商品力に強みがあると指摘しています。

市場を分析する際、業界プレーヤーはどのような強みを持っているか、把握しておくことが必要です。特に、主要プレーヤーについてはウェブサイトなどから定量情報を確認するだけでなく、日々の行動の中で様々な定性情報を手に入れることが大切です。

競合の顧客像やバリューチェーンの取り組みを正しく理解することは、インパクトを生み出す次なるアクションにつながっていきます。

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