大前研一「ニュースの視点」Blog

KON547「国内株式市場・円相場・日本国債~2020年までの財政健全化のためには大増税が必要」

2014年12月12日 円相場 国内株式市場 日本国債

本文の内容
  • 国内株式市場 7年4ヶ月ぶりに1万8000円台回復か
  • 円相場 一時1ドル121円69銭
  • 日本国債 米ムーディーズ 日本国債を一段階格下げ

株式市場、為替相場、いずれを見ても危険な徴候


日経新聞は、8~12日の週の日経平均株価は7年4カ月ぶりに1万8000円台を回復し、上値を試す展開になると予想する記事を掲載しました。

11月の米雇用統計は雇用者数の伸びが市場予想を大きく上回ったことや、7~9月期の国内総生産(GDP)速報値の上方修正が予想されており、相場の支援材料になる可能性が高いとのことです。

日経平均株価が1万8000円に近づいているとのことですが、これは危機の前兆でしかありません。なぜなら、株価が上昇する正当な理由がないからです。

今、上がっている株を見ると、日経225や日経400といったインデックス銘柄です。日経インデックスに関連している銘柄に集中していて、個別銘柄には何も意味がありません。完全に作られたマーケットであり、官製相場になっています。年金ファンドなども利用されており、やり過ぎだと思います。

実体経済と株価の差は、どんどん大きくなっています。このような株式相場の事実を見ると、「安心感」など持てるはずもありません。むしろ、危機感を募らせるばかりです。

また、円安が進み輸出関連企業に有利だと言われていますが、円安もここまで進むとマイナス要因が大きくなり、私は非常に深刻な状況だと見ています。

5日のニューヨーク外国為替市場で円相場は大きく下落し、一時は121円69銭まで下げ、2007年7月20日以来およそ7年4カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けました。日銀が10月末に追加金融緩和に踏み切って以降、10円強の円安が進んだ形です。

また、貿易相手国通貨に対する円の総合的な価値を示す実質実効為替相場は1973年1月以来、約42年ぶりの弱さとのことです。

対米ドルで為替の推移を見ると、乱高下のイメージがあるかも知れませんが、古くは360円からスタートし、一時は80年台の異常値の時代もあり、今は過去20年の平均値に戻ってきている、という状態です。

輸出額と円相場の推移を見ると、円安が進んでいるのに全く輸出が増えていないことがわかります。日本企業は為替によって輸出を増やしてはいない、ということです。

円ベースで増えていないということは、米ドルベースで見ればむしろ輸出額は減っているというのが現実です。

日本と中国のGDPの推移を見ても、米ドルベースで見ると、2009年に中国が逆転し、2012年頃まではそれほど差は開いていませんでしたが、この円安の影響もあって今となっては2倍の差になっています。さらには、ドイツにも急速に近づかれつつあります。

このような状況を見ていると、何も良いことはありません。安倍総理は必死に円安のプラス効果を強調していますが、全く何もわかっていないのでしょうか。日銀の黒田総裁は、さすがに一方的な円安容認の姿勢に変化を見せ始めており、危険性を理解しているのだと思います。

 

2020年までの財政健全化のためには、大増税が必須


米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは1日、日本国債の格付けを最上位から4番目の「Aa3」から「A1」に1段階引き下げたと発表しました。安倍政権の消費再増税の先送りなどを受けて、2020年の財政健全化目標達成の不確実性が高まったことなどが要因とのことです。

またムーディーズは2日、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行など邦銀5行と日本生命保険など生命保険2社の格付けを1段階引き下げたと発表しています。日本国債格下げの影響が国債を大量に持つ金融機関にも波及した格好です。これも非常に深刻な問題です。日本のランクは、ボツワナやスロバキアと同じで、韓国を下回っています。

主要投資家別の日本国債の保有残高を見ると、日銀が国債を買い込んでいる実態がわかります。国内銀行は日銀に国債を売っている形で、日銀の保有残高は200兆円を超え、保険会社の保有残高を上回って最大の保有主体になっています。

それでも、保険会社で約190兆円、国内銀行でも約130兆円の国債を保有しています。日本国債の格付けが下がれば、金融機関の格付けも下げられてしまうのは致し方ないでしょう。

このような日本経済の状況から、2020年の財政健全化は可能なのか?というと、かなり難しいでしょう。歳出を減らし、増税するしか方法はありません。

今、日本は約100兆円の予算を組んでいますが、そのうち約50兆円強は社会保障と過去の借金返済に割り当てるもので、減らすことはできません。実質的に削減できるのは40%程度の項目ですが、それを実行するしかないでしょう。

また「増税」は必須であり、しかも消費税で言えば、20%程度が必要とされます。消費税10%では、2020年までに財政健全化(プライマリーバランスの均衡)を実現することは不可能です。

消費税を2%増やしたところで、せいぜい経済効果は5兆円程度です。その程度の増税すら先送りするのが、今の日本の政治家です。全く情けない限りです。こんなレベルでは、2020年までに財政健全化は無理ですから、むしろ発表しないほうがマシだと私は思ってしまいます。

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※この記事は12月7日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

 

今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今回は解説の一つに増税の話題を取り上げました。

消費税10%では2020年までの財政健全化は難しく、20%程度の税率が必要であると、大前は記事中で指摘しています。

その打ち手は本当に目標達成に向けた大きな成果につながるのか?このような視点から予めインパクトを予測し、解決策を選択していく必要があります。

例えそれが阻害要因の多い選択肢であっても、正しい打ち手を取っていくことが真の問題解決者の姿勢なのです。

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