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     週刊 大前研一 『 ニュースの視点 』
                        2006/04/07#108
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■□大前研一ニュースの視点□■

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上げ潮の株式市場〜今だから気をつけたいこと

先月31日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比14円32銭
高い17059円66銭となり、昨年来の高値を更新して2005年度の
取引を終えた。

東証1部の時価総額は2004年度末と比べて50%増の548兆円
に達し、年度末としては17年ぶりに最高を記録。上げ潮の
株式市場ではあるが、そんなときだからこそ“ウォッチ”
すべきことも多々ある。

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●カナダの人びとは、銀行窓口で当たり前のようにファンドを買う

元来、世界の人々に比べると日本人は「個人で株を買う」
という考えが希薄でしたが、ここへきてようやく株式投資が
クローズアップされはじめ、市場全体も潤ってきました。

とはいいつつも、まだまだ定期預金や定額預金をお金の
預けどころとする傾向は続いています。日本人の個人金融資産
の合計額はおよそ1500兆円ですが、そのうちの500兆円あまりが
定期や定額預金で、「リスク資産」と呼ばれる株式投資は
約118兆円、投資信託は約51兆円にとどまっている状況です。

対外証券に至っては6.1兆円で、外貨預金は4.8兆円。
これは私からすると、ちょっと信じがたい数字です。

私はかねてから、「貯金は、まず三分割」だと言い続けて
きました。三分割して円、ドル、ユーロに振り分けて、
なおかつそれぞれをリスクプロファイルの異なる3つに
振り分ける、計9分割とするスタイルが基本といえます。

超低金利の預金や郵貯などに甘んじず、もっと海外へ目を
向けて、リスクをうまく分散しつつ資産を運用していく。
それが今の日本人にとって考えるべき命題であることは
明らかです。

海外の人々は、このあたり実に柔軟にこなしています。
先日カナダ最大手の銀行であるロイヤルバンク・オブ・カナダ
(以下、RBC)を訪れたところ、どの窓口にも100ページを
超える冊子が置いてあり、無料配布していました。

そこに書かれているのは、無数のファンドの紹介です。
過去10年の実績などが数値やグラフ化され、ファンドの素人
にもわかりやすい文章で書かれています。

日本の銀行窓口は、定期預金などの加入のために機能して
いますが、RBCの窓口ではファンドをも含めた資産運用の
選択肢を、わかりやすく伝えながら販売しているのです。


●ウォッチすべきは中国の動向と「誰が売りに転じたか」

私はRBCの担当者から、ファンドに関するいくつかの資料を
受け取りました。そのなかで特に目を引いたのは、一千万円
クラスのファンドのリターンの推移です。先進国8カ国の
過去20年間のリターンがランキング化されていました。

それによると、2005年の一位はカナダでした。カナダは業界別
にファンドが存在し、そのなかでもエネルギー関連のファンド
が急成長したことが躍進の理由です。

この1年間の伸び率は実に39.68%で、年頭に1千万円入れて
おいたら年度末に1400万円という強烈な利回りを記録しました。

カナダドル換算によるパーセンテージなので、対米ドルで
みれば実質的に50%に届くほどの数値です。

一方、アメリカのファンドはブッシュ政権樹立以来、
ランキングは下降線を辿っています。日本はというと、
過去20年間で4回一位になっていますが、最下位にも
8回なっているのです。

他の国も、20年というスパンでみると調子の良い時期
と悪い時期があり、総じて乱高下が激しくなっています。

ランキングから読み取るべきもっとも重要な点は、どの国も
「良くて数年」であること、すなわちひとつの国に長々と
資産を置いておくのではなく、臨機応変に移していくことが
資産運用において大切だということです。

一昨年はラテンアメリカが良かった、昨年は中央アメリカが
浮上し、現在はインド。中国に比べるとインド株式市場は
歴史も古く、透明性もありますが、いつまで上がり続けるか
は慎重に見極めるべきでしょう。

2005年、日本はランキングの2位でした。その躍進ぶりは、
先月末に2005年度の取引を終えた東証1部の時価総額にも
現れています。前年度比50%増の548兆円で、年度末としては
17年ぶりに最高となりました。

しかし、これはあくまで時価総額。インデックスについては
1989年頃に記録した40000円弱がピークで、今は17000円
前後を推移しています。

1989年頃のインデックスのピーク時に「このまま6万円を
突き抜けるだろう」と予測した証券会社や識者がいました。
どの時代にも「このまま上昇する」という予測はありますが、
まずこれらの意見を鵜呑みにしないことが大切です。

では、仮にこのまま2万円台にまで到達したらどうなるか。
まず、ここ2年間ほどで約20兆円あまりを持ち込み、東証一部
の時価総額を押し上げてくれていた外国人投資家たちが、
利益を確定して出て行ってしまうでしょう。

先に述べたように「良くて数年」の論理を彼らは踏まえている
からです。よって、「誰が売りに転じたか」をウォッチする
ことが大切となります。

もうひとつ、観察すべき要素は、中国の動向です。日本は
中国特需で企業業績が上向いた背景があるため、供給過剰に
陥っている中国がどう停滞するか、日本への注文がどの時期で
滞り始めるかをウォッチする必要があります。

私は今後、日本の株式市場の変化の兆しと、上昇気流に乗る
海外の投資ファンド、その双方をつぶさにウォッチしていく
予定です。

ひとつだけ強くいえることは、超低金利という閉塞した日本の
金融事情に甘んじて、定期預金に預けている理由はどこにも
ないこと。複数の選択肢、可能性があることを踏まえ、広い
視野で観察していくことがもっとも重要といえるでしょう。


                       −以上−


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今回配信いたしました「大前研一ニュースの視点」は、
大前研一ライブ(スカイパーフェクTV ! 757ch)4月2日放送分
を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに再構成しております。

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 ◆発行・編集 株式会社ビジネス・ブレークスルー LTE事業部
        『問題解決力トレーニングプログラム』事務局
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